第41話 魔法少女 ブラックソード②

「これでも手加減してるんっすよ.....この程度なら兄貴なら避けられるっしょ....まあ、当たったなら当たったで、その程度の男だったってことっすけどね...」



「そうかよ....ならもう少しだけ、俺にハンデをくれてもいいんじゃないか?」



「ハンデ?」



「『使えるものは何でも使え』とは言ってもさすがに喧嘩に真剣を持ち出すのは反則だろ!!俺は素手の人間だぞ!!卑怯だと思わんのか!!タイマン張るのなら、志麻も正々堂々と戦え!!」



それを聞いたブラックソードは一瞬キョトンとしたが、やがて大きく笑い始めた。



「アハハハハ!!ククッ.....!そうっすよねぇ....たしかに卑怯だ...」



剣の色が黒く戻っていく。


それを後方に放り投げた。



「さあ、これで剣は無くなったっすよ。これで兄貴の言う正々堂々の舞台はできたっすか?」



「この野郎!調子に乗りやがって!!ただじゃ済まねえぞ!分かってんのか!?」



志麻の笑いは止まらない。


完全に勝利を確信している。



「お互い素手なら兄貴の方に分があると?さっきとは状況がまるで違うんっすよ!」



俺は拳を握り、ブラックソードへ走りだした。



右フックを軽くガードされ止まる。


効いてる手ごたえをまるで感じない。


岩をぶん殴っているみたいだ。



「このコスチュームは飾りじゃないっすよ!!プリティドレスを纏った魔法少女の身体能力は数倍に跳ね上がる!兄貴は私の何倍強いっすか!?」



返しのラリアットを喉にくらい、また数メートル後ろに飛ばされた。



「くっ.....」



「もう無理なんっすよ兄貴。いい加減諦めて」



「うおおおお!!!」



「はあ、まだ突っ込んでくるつもりっすか?だったらこれで終わらせてやるっす!」



今だ!


スライディングし、ブラックソードの股の下を潜り抜ける。


背後を取った!!


腰に手を回し持ち上げる。



「おりゃああ!!!くらいやがれ!!」



ジャーマンスープレックスで投げ飛ばした。


脳天をコンクリートに突き刺す。



いくら魔法少女でもこれでノーダメってわけには....




「ククッ....それで終わりっすか?」



技を決められた状態でブラックソードは余裕そうに答える。



「打撃が通用しないなら投げ技でって考えでしょうが、この兜はあらゆる衝撃を吸収して頭部を守ってくれるっすよ!この程度の威力じゃあ、私にダメージは与えられないっす!」



何だと―――!!



「くっ....それなら!」



少女の腰から手を放し、仰向け状態のブラックソードの足をクロスさせて足を組み、ステップオーバー。



「これでどうだぁ!!」



サソリ固めの態勢をとり、腰を落とす。



これで足首、腰、膝の動きを封じた。


そして前回みたいに手加減はしねえ!



今回は容赦なく魔法少女の両足の骨をへし折ってやるぜ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る