第23話 リミット

『ちょっと、いつまで待たせるのよ。早くマジカルギアを持ってきなさいよ』



何も事情を知らないピーチは呑気に文句を言ってくる。



「それどころじゃないんだよ!!あいつ気絶したふりして生きていやがった!!何とかしてくれ!今度は本当にピンチなんだ!!」



『何やっているのよ!だから早く決着をつけるように言ったじゃない!』



「そんなこと言ってる場合か!!」




まずい、机が一個無くなる.....



真後ろの遮蔽物へ素早く乗り換え、難を逃れる。


それと同時に砲撃が止まった。



弾切れか!?



いや、分からない。


そう思って出てきたところを狙い撃ちしてくる可能性もある。



だが、このまま隠れているだけでは勝つことはできない。


俺の身を守る盾がすべてなくなった時、決着がついてしまうことはもう目に見えている。


それまでになんとしてしても手を打たなければならない!



だが、一体どうすれば......



「私の弾が尽きるまでそうやってずっと隠れているつもり.....?」



べジキャロットの周りに気流が発生する。



床に落ちたカボチャやヤシの実が小刻みに揺れ、上空へ舞い上がる。



おい、マジかよ....



形のまだ崩れていない食材が再び砲台へ吸い込まれていく。



「このニンジンバズーカは私が食材と認識したものはなんでも吸収することができる。どう?これでもまだ隠れ続けるつもり........」



再び、連射して調理場を破壊し続ける。


最初に隠れた机は粉みじんになって木くずとなってしまった。



俺の肉体がいくら強化されたとは言っても当たればひとたまりもない。


それに、それが簡単に再充填できるもんだからもはや絶望的だ。



『明人君。早く倒してよ!』



「うるせえ!それができたら苦労しねえんだよ!!」



『私の魔法は永遠に持続できるわけじゃないのよ!あと3分以内に勝負を決めないと強化魔法が解けてもとの肉体に戻ってしまうのよ!!』



「そういうことは早く言えよ!!!」



これは本格的にマズイ.....


こんな状況でさらに時間制限だと!?




「料理のスパイスは愛情。

愛さえあればどんな料理でも笑顔になれる!

受け取って!!ニンジンバズーカ!!」



「やかましい!ズルして料理出そうとしていたくせに!!」



「ズルじゃない...魔法少女の力も実力のうち。才能の一つだもん!」



ちっ、もう隠れられそうな場所がない.....



「いい加減出てきたら?自分から出てきてくれたら、特別に一撃で心臓に打ち込んであげるけど.....」



「何が特別だ!!分かったよ!そこまで言うなら望み通り出てきてやらあ!」



その挑発を受けて俺はべジキャロットの真正面に立った。

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