第22話 倫理観

「それくらい見られてもいいだろ。多分見ていたとしても今の説明なしだったら何やっているのか絶対分からなかっただろうし!」



するとべジキャロットは床に落ちたニンジンバズーカを拾い上げる。



「疑わしきは罰する......どのみちあなたが私を見つけた時点でここで殺すことは決まっていたから.......」



「何言ってんだ!?俺は別に」



「バラすでしょ!!不良のあなたなら......そんなリスクのある人間をここから生かして返すわけにはいかない......私の平穏な学校生活のためにも!!」



髪飾りのサイズ程度に収まっていたニンジンの砲台は急に3倍くらいの大きさにサイズアップしそれを脇に挟み込むように持ちなおす。



「私に会ったのは運の尽きだったわね.......あ、でもあなたも私のマジカルギアを奪いに来たわけだから、これは正当防衛とも取れるわね。まあとにかく.....



死んで......」




少女の目からハイライトが消える。


やはりこいつら、狂っていやがる.......



倫理観がぶっ壊れている......


俺らとは根本的に考え方が違うんだ、何もかも。




「.....いいぜ。やってみろよ!!言っとくがなあ.....もうテメーには力によるアドバンテージはもう無いんだぜ!!むしろ今では俺の方が上だーーーっ!!」



何かをやられる前に攻撃を当てようと先に動く。


その動きに合わせて敵は銃口を俺に向けて合わせてくる。



何かが勢いよく発射され、それが床に打ち込まれる。



(....っ!うかつに近づくのは危険だ.....)



近くの机の下に隠れ、キャロットの出かたを疑う。




「それで隠れたつもり......?」




―――――ダダダダダダダッ


連射して打ち続ける。



それは机ごと削り飛ばしてそのまま俺に弾を当てるつもりだ。


なんて脳筋な戦法なんだ。



床にボールのようなものが転がる。


見るとそれはジャガイモだった。



あの女の魔法、油を自由に出し入れするだけの能力じゃなかった。


今両腕に抱えている砲術こそが彼女の最大の強みである武器。


あの中に食材を詰め込んで射出する能力。


そのスピードは自分で好きなように調整することができるんだ.....


ジャガイモやスイカのような堅い食材を勢いよく飛ばすことで殺傷力の高い武器に変えることができると......



これはまいった....


俺はなんとかして近づかなければ奴を殴り飛ばすことができない.....


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