第21話 魔法少女は皆、自意識過剰!?
「まず大前提として私はとっても可愛い...」
「うん?」
「勉強もスポーツもできて、クラスの中では”白ゆり姫”とまであだ名がついている。そして男子からもすごくモテる.....」
(何言ってんだコイツ......)
「そんな文武両道の完璧美少女という立ち位置にいる私だけど、今日とても困ったことが起きた...」
「はぁ....」
「明日は私のクラスは調理実習の日。そんなときクラスのアホな男子が、『白ゆり姫は料理作るのも上手いんだろうな〜』『俺食べてみたい〜』とかそんな話をしていた....」
「それがなんだよ、作ればいいじゃん。得意なんだろ?料理作るの」
「私は料理ができない....」
「え?いやいや、それは無いだろ。聞いた話によると、お前は料理を作るのが得意な魔法少女なはずだろ?」
「それは魔法を使っているから。私は”クイーンズベジタブル”のカテゴリに属する魔法少女。私たちのテーマは健康。その魔法は食材の成分を操作する能力。この魔法を使えば食材の栄養成分はもちろんのこと、うまみ成分を変化させることでどんな食べ物でも自分の好きな味に変えることができる。例えばそこに散らばったスイカの欠片も私の魔法を使えばステーキの味に変えることだってできる....」
ええ....
どんなアニメか見ていないからよく分からんけど、こいつは適当に料理作って魔法で味変したものを出しているだけだったのか....
今の話ファンの女の子が聞いたら幻滅するだろ....
「いや、まあ仮にそうだったとしてもだ。食材に触れることは多かっただろうし、全く作れないわけではないんだろ?」
するとキャロットは泣きそうな顔になり、
「私以外の仲間は........みんな料理作れるよ.....」
「え?どういうこと??」
「花見明人は私のアニメ見てない?クッキーを作ろうとしてもスライムを作り続ける私を見かねてベジピースはこう言ったの『料理が作れなかったとしてもできることはあるよ!!』....ってね...
それから私は食材運搬係。このニンジンバズーカを使って仲間に食材を届け続けるだけのポジションになった....私がアニメで料理を作った回はスライムを量産し続けた8話のみ。あとは来る日も来る日も仲間の欲しい食材を買ったり探しに行ったりして持っていくだけ。それなら別に通販で頼んで冷蔵庫にでも入れておけばいいって思わない??ねえ...私ってそんな価値のない魔法少女だったのかな....」
キャロットは少しヒスりぎみに感情をむき出しにしていた。
正直、この少女の心の傷は俺にはイマイチピンと来ていないが.....
なんて辛い過去なんだ.... (笑)
アカンww
わろてまうwww
設定が意味わからんすぎて笑うわ。
きっとこいつの仲間も料理の修正が上手くいかないと早めにさじ投げて遠回しに調理場に立たせたくなかったんだろうなぁ.....
逆にどんな料理なのか見てみたいわ!
目元を袖で隠し、表情を悟られないようにする。
「何やっているの.......???」
「(ぷっ...)......辛かったんだな......話を聞いたら(クッ....)だんだん悲しくなってしまってよ.....(プクッ...)続けてくれ.....」
今の俺の顔を見られたら、激昂して再び襲い掛かってくること間違いない。
「..........
とにかく....私は今の白ゆり姫のイメージを崩すわけにはいかない....だから前日に調理室に忍び込んで私たちが作る班の食材に7つ星レストランのシェフが作った料理の成分を注入しておいた。これで明日は私がどんな料理を作ってもこの味になる......」
え.....
まさかとは思うが.....それだけ???
この野郎、その程度の理由でわざわざ魔法なんか使っていたのか?
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