第42話 魔法少女 ブラックソード③
関節技ならいけるはず!
べジキャロットだって油を使わなければ俺の関節技から抜け出すことはできなかった。
これなら、
「もう満足したっすか?兄貴」
完全にガッチリ極まったはずのサソリ固めがとんでもないパワーで簡単に外された。
体位を逆転され、俺の上に志麻が馬乗り状態で乗っかる。
「さっきから言ってるっすよね?兄貴は今の私に勝てないって」
力いっぱい振りほどこうとしても志麻を動かすことができない。
右手を手刀の形に変え、高く振りかざす。
「終わりっすよ....兄貴。
これで約束通り、ライダーに戻ってきてください!!」
『パワーインジェクション!!』
その掛け声とともに、心臓のミラクルストーンが光り、全身から力が湧いて来る。
「そんなにライダーを復興したいなら!自分で作りやがれ!!」
振り下ろされる手刀より先に俺の拳がブラックソードの頬に届いた。
「へぶっ.....」
吹っ飛んだブラックソードは真上の天井に叩きつけられ、落下してくる。
この隙を逃すわけにはいかねえ!!
落下してくるブラックソードの肝臓をつま先で蹴り飛ばし、さらに一直線にぶっ飛ばす。
相変わらず、すごいパワーだ。
『間に合った?』
「ああ、ギリギリだったがなんとかな.....」
今ので終わってくれと思ったが、やはりそううまくは行かない。
壁が崩れた瓦礫の中から黒い鎧の腕が飛び出した。
「やっぱこの程度じゃあ、終わんねえよなあ....」
「兄貴....どういうことっすか??その力....魔法少女の力.....」
ブラックソードも驚きを隠しきれていない。
俺が志麻のことを魔法少女だと思っていなかったのと同じくらい。
志麻だって俺が魔法の力を借りれることを知らなかっただろうからな。
「これはわけあってな....俺も魔法が使えるようになったんだ。」
「........そうか...分かった。あの女っすね」
「うっ....一体、何のことだ?志麻....?」
察しの良い志麻に寒気がした。
「とぼけないで下さい!!全部つながった。最初からおかしいと思っていた!!
あれだけ私が誘惑しても全然なびかなかった兄貴が、いきなり彼女を作るだなんて!そしてあれだけ全校統一の夢を語っていた兄貴が急にチームも解散。そして今の魔法少女と同等の力。兄貴は、最初から魔法少女のことを知っていたんだ!!」
「..........」
「兄貴はあの女!魔法少女に洗脳されている!!ということは、あいつを今すぐ見つけ出して殺さないと!!私が兄貴を救い出してやる!!」
うーん.....
何か微妙に合っているような間違っているような.....
「洗脳されているわけではないが....志麻にアイツを殺させるわけにはいかないな」
なぜならその瞬間、魔力供給されなくなった俺も死んでしまうからだ。
「洗脳されている人はみんなそう言うんすよね....でも兄貴はもう私には勝てないっす!その理由は....」
瓦礫の中から左腕と一緒に大剣も現れた。
なっ....しまった.....
さっきブラックソードを蹴り飛ばしたその先には、せっかく奴が放棄してくれていたた獲物が置いたままだったんだ.....
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