第18話 魔法少女 べジキャロット③
『よく聞いて!まだキャロットが魔法を使っていないのなら使う前に早く勝負を決めて!油断しないで、魔法少女はただ力が強いってだけじゃないのよ!』
魔法?
ここからまだなにかあるのか??
――――ピチャピチャピチャ..........
「む!?」
キャロットの頭に乗せた太ももにひんやりとした感触が伝わる。
その冷たさは徐々に広がっていき反対側の足に到達した時点でそれに気づいた。
キャロットの頭につけてある装飾品のにんじんの根元がふたみたいな構造になっていて、それが上に開き、その中から何かしらの液体が流れ続けている。
魔法少女はその液体によってずぶ濡れになり、俺の足元には大きめの水たまりが出来上がった。
「さんざん偉そうなこと言ってたくせに、あなたには骨一本折る覚悟も無かったようね.....」
ガッチリ抑えていた右腕と頭が同時に引っこ抜ける。
「何っ!!」
慌ててもう一度技を掛けなおそうとするがその液体で滑って掴むことができない。
これ、油だ........
距離を取られたキャロットは指をパチンッと鳴らすと全身についた油と床に落ちたものが全て頭の人参に吸い込まれていき.........
パタッとふたが閉じた。
これがこいつの魔法!?
あの人参の中には大量の油が入っているのか。
それを自在に出し入れすることができると.......
くっ、どうしよう.......
ふりだしに戻ってしまった......
いや、取っ組み合った時に包丁は床に落としていたから、それが無いのは唯一の救いか。
「あなたのその顔、知っているわ。花見明人。この学校ではちょっとした有名人だもの。相当なワルって噂だけど。そんな人間がどうしてここにいるのかしら?」
「.......話も聞かずに殺そうとしてくるやつにワルとか言われたくねえな....」
「あっそ。まあいいわ。花見。見たんでしょう??」
「見たって何をだ?」
「とぼけるな!!」
飛んでくる右ストレートをかわす。
続いて出される蹴りを避けたところでそれがテーブルをえぐり飛ばす。
さっきよりこいつの出力上がっていないか?
こんな打撃、ガードすることもできない。
避け続けてもじり貧になるのは見えている。
一体どうすれば........
『明人君!!準備ができたわ。【パワーインジェクション!!】』
ピーチの掛け声とともに心臓のミラクルストーンが桃色に輝きだす。
その光の眩しさに反射的に目を覆ってしまった。
あ...
しまった.........
キャロットはその隙を見逃さず右ストレートをこめかみに叩き込んだ。
「うっ........
...............あれ?」
魔法少女の一撃がヒットしたことで頭が吹っ飛ぶ覚悟をしたが、奇跡的に無事だった。
というか全然痛くない。
まさか手加減してくれたのか??
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