第19話 魔法少女 べジキャロット④
「な....どうして........」
目の前の魔法少女も驚いていた。
どうやら手加減してくれたわけではないようだ。
何が起こっているのかは俺にもよく分からん。
だが、今だ!!
ビッグブーツでキャロットの顔面を蹴り飛ばす。
その足は俺が思ったより早く、鋭く、重く少女を捉え、その衝撃でキャロットは数メートル吹っ飛んでいき、教室の壁に叩きつけられた。
「がはっ!!」
その一撃でキャロットの口からは吐血し、ダウンしたまま動かなくなった。
予想外の衝撃.......
「一体どうなってんだ.....」
たしかに強くは蹴った。
だが、まさかここまでの威力が出るとは.....
自分で自分のしたことに面食らう。
倒れたまま動かないキャロットを見て、あの日、銀行強盗をしていた魔法少女にやられた自分とその姿が重なる。
この威力.......まるであの時の.......
『明人君、どう?倒せた?』
放心状態のところにピーチの声が聞こえる。
「倒した.....多分.......」
『良かった.....この魔法、溜めるのに時間がかかるのよね。まだまだ改良の余地ありと言ったところかしらね』
「魔法...?まさかピーチ、俺に何かしたのか?」
『ふふん。私は治癒の魔法少女。でもそれだけじゃないの。なんと私は自分以外の人間の身体能力を数倍に引き上げるバフ効果の魔法も使うことができるのよ。どう?凄くない??』
「ああ、凄げえよ....
これがあれば確かに、化け物じみた魔法少女に勝つことができる!!」
握りこぶしをつくり、強く握ると力がみなぎってくるのを感じる。
本当に、この力があれば俺を殺したあいつにだってもしかしたら.......
『でしょでしょ!!ちなみに今の魔法は≪魔法少女ミラクルウィッチ≫第38話に登場するんだけど、私が主役で大活躍するからぜひ見てみて!!』
「いや、それは別にいいわ.....」
『なんでよ!!DVD全巻貸してあげるから!!』
「いやうちテレビないし.......」
『だったら”プリティプライム”のサブスクに今すぐ登録して全巻見なさい!!今なら1カ月間無料だから!』
ええ......何こいつ........
急に魔法少女ものをメッチャごり押ししてくるんだけど......
そんなもん、興味ないのに見るわけないだろっ!!
「分かった分かった。見るから。(いつかな....)」
『言ったからね。約束よ!!』
「んなことより、俺はこれからどうすればいいんだ?望み通り魔法少女は始末してやったが....」
『あ、そうそう。すっかり忘れていたわ』
忘れるな!!
こっちは今まで死ぬ思いをして戦っていたんだぞ!!
『その子のマジカルギアを外して屋上まで持ってきてほしいの。左手首についているやつよ。見れば分かるわ。それを外せば魔法少女の変身も解けるから』
「.........分かった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます