第32話 忘れかけていた復讐!

「ふぁあ~あ」



「そんなだらしないあくびして.....」



「まだ眠いんだよ......7時だぞ!」



「世間ではそれが普通なのよ!」




俺は桜と一緒に登校していた。



俺が普段遅刻していた理由の一つに、家に時計が無かったということがある。


新居へ引っ越ししてからは桜の目覚ましがやかましく鳴るのでそれで起こされる。


俺は起きたくなかったから、寝ているふりをして粘っていたが努力虚しく、布団から引きずり下ろされて無理やり朝食を摂らされた。



「これが毎日続くのか......(はあ....)」



「嬉しいでしょ?こんな美少女と同棲して、一緒に登校できるなんて、もしかして、思春期の明人君には刺激が強すぎるかしら?」



「アホ抜かせ!ほぼ強制的に引っ越しさせたのによく言うわ....」



「あら?私は道端に野垂れ死んでいる狂暴な野良ネコを拾った気分なのだけれど」



「誰が野良猫じゃ!!」



そうして言い合いながら登校していた時だった。



後ろから、俺は全然気が付かなかったが、どうやら一人の女の子が走ってきていたらしい。





「あーーーにき!!」



「どわっ!!」



それが後ろから吹っ飛びそうになるくらいの勢いで突然抱き付かれる。



「兄貴!お久しぶりっす!!山籠りから帰ってきてたんっすね!!どうして教えてくれなかったんっすか!!」



「んだよ、志麻か....」



逆刃 志麻。


同じ校内の中等部の3年。


この世で唯一俺と対等に話せる人間の女子だ。




「いい加減降りろよ。重いぞ」



「もー。相変わらず辛辣っすねぇ兄貴は。女の子に重いとか言ったら嫌われるっすよ!!」



実際はそんなに重くない。



志麻は平均の女の子と比べて小柄な体格をしていて、実際は羽のように軽い。


そんな一向に離れようとしない彼女の両腋を持ちあげ、床におろす。



「ったく、志麻は朝から元気だな。こんなに早くから登校してるとは思わなかったぞ」



「剣道部の朝練っすよ!私はまだ兄貴の舎弟としてまだまだ未熟ですので!日々精進しているであります!」



「そうか....頑張っているんだな」




「えへへ....兄貴に褒められた///


あ、そうだ兄貴!復讐の決行日はいつですか?」



「復讐?」



「そうっすよ!!あの憎き女、白神希来里に!!」



「あっ!!」



「兄貴があんな女に負けるはずがありません!きっと汚い手を使って兄貴をおとしいれたに違いないです!兄貴がヤツに復讐をする日は私もお供します!


共に、一からライダー復興を目指して頑張りましょう!!


その反撃の狼煙にあの女、血祭りにしてやる!!」




そういえばすっかり忘れていた.......


白神希来里。俺の高校の風紀委員。


思えばあいつに喧嘩で負けてから色々とおかしなことになってしまったんだよな...



どうしよう.....



今はそんな小さなことよりも、もっと大きな問題に直面しているので、そんなことはもはやどうでもよくなっている....


だがそれを志麻に言ったところで信じてもらえるかどうか....


まあ言わないほうが良いか。


言ったところで頭が変になったと思われてそれで終わりだろうからな...



「兄貴?....どうしたんっすか??そんな深刻そうな顔して??」



「志麻....俺はもう、そういうのは辞めたんだ....」



「えっ......」

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