第31話 新たなる住居
俺は見知らぬ個室で目を覚ました。
至るところにぬいぐるみが置いてある。
ピンク色の慣れない壁紙に、頭がくらくらする。
テレビがついていた。
『正義の味方、魔女っ子スリー!!
私達が来たからにはこれ以上悪さはさせない!
覚悟しなさい!メギドラ!!』
.............
「どうして、魔法少女のテレビがついてるんだ...」
「それは私の部屋だからよ!!
パジャマ姿に着換え、髪を濡らした女神が登場する。
最初に抱きしめられたあの時を一瞬思い出してしまった。
そして女の子からするあの、謎の甘い香りの正体が今分かった。
女子しか買わない高い柔軟剤だったんだな....
「なによ、そんなにジロジロ見て....くせ毛でもついてるついてるのかしら?」
「........いや、なんでもない....」
「そう。変なの....」
桜は冷蔵庫を開け、飲み物を取り出し始めた。
「いつまで座っているのよ。風呂あがったんだから入りなさいよ。臭いから」
「あん?他人の家の風呂なんて入れるか!」
「今日から明人君はここに住むことになるのよ。一緒に住むのに不衛生な人が隣にいたら苦痛で仕方ないから」
「何勝手に決めてんだよ!そんなの了承した覚えはないぞ!俺は家に帰る!」
「ダメッ!」
「それを決めるのは俺だ!
あっ―――
いだだだだだだだだ!!!やめろぉーー!」
「ここに住むって言うまでやめない!また気絶したくないなら大人しく」
「住む住む住む!!住むから!」
「よしっ!!」
くそう!
ちょっと都合が悪くなったらすぐ、背中のそれをしてくるな....
俺が自由になるにはまずこれを何とかする方法を探すところからだ.....
「私は明人君のご主人様なんだから。私の言うことは口答えせず大人しくゆうことを聞く!いい?」
「へい...」
いつか自由の身になってこいつもぶっ飛ばしてやる!!
俺の生きるための使命がまた一つ増えた。
「今日から私の部屋に無料で住まわしてあげるんだから、次からは人間らしい生活をするようにしなさい。物は盗まない!残飯も食べない!人からお金を巻き上げない!いい?破ったらただじゃおかないからね!!!」
「..........」
「返事は?」
「チッ........分かったよ...」
「はあっ.......全く、なんて反抗的な態度なのかしら。まあいいわ。さっさと風呂に入って.....」
不本意ながら、俺は食、住を手に入れた。
この女の言うことを聞くのは癪だが、考えてみればそこまで悪い話ではない。
今まで苦労して臭い飯を手に入れていた労力も、雨風が吹くたびにストレスを感じていた日々から解放されるのだ。
そのためのオプションとして人外の少女がついて来るわけだが....
「これからは魔力補給のために最低でも私から勝手に半径100m以上離れないこと!食事をするときも、外に出るときも学校でもずっと一緒だからね。分かった??」
「..........」
「分かった??」
いやいや、重い......
それはマジで、シンプルにキツいんだが.......
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