第5話 怪力少女
俺の回し蹴りが少女の腹部に当たる。
その子は一瞬驚いた表情をしたが、次第にそれが薄気味悪い笑みへと変わっていった。
お腹に突き刺さったままの俺の足首を掴み、
「なによ、いきなりレディーのお腹を蹴るなんて...あなた、男の風上にも置けない存在ね。万死に値するわ」
体が横に大きく揺れる。
あろうことかこの女、俺をその体勢から思いっきり振り回し、外壁に叩きつけてきた。
――――かはっ........
呼吸が一瞬止まる。
なんだこいつ、分けわかんねえ...
明らかに人間離れした身体能力だ。
純粋に力が強いとかそういうレベルではない。
物理法則を無視したようなありえない動きをしている。
「あれ?本当に死んじゃった??おーい.....」
余裕そうな声で俺の安否を確認する少女。
このバケモンが....
だが俺もただでやられるわけにはいかねえ....
俺も今日までしっかり山で鍛えてきたんだからな.....
「あら、死んでなかったのね。よかったよかった。あなたってとっても頑丈なのね。私って力強いからさ、人間相手に加減するのが難しいのよ」
「やってくれるなこの野郎......俺が土を舐めたのはこれで二度目だぜ。ふざけた格好してるくせにやるじゃねえか.....」
「ふざけた格好とは失礼ね。神聖なるプリズマドレスを馬鹿にすると罰が当たるわよ」
「悪いな。俺はコスプレに興味は無いんだ....」
そんな少女と話をしていると建物の中からもう一人の女性が現れる。
「鈴、終わったぞ。見張りは.........」
そいつもコスプレをしていた。
この黄色いやつの衣装をまんま青くしたような衣装に髪の色。
仲間か?
まずいぞ....これと同レベルの奴が増えてしまった...一体どうすれば....
「何?こいつ.....」
「いや、私もよく分からないけどなんか邪魔してきそうだったから遊んであげてるの」
「同業者か?」
「多分違う。ただの人間の男。弱いし。何でここに入れたのかは知らないけど....」
...........二人が話し始めた。
どうする?逃げるか??
いや、無理だろう。
とてもじゃないがそんなことできる気がしない.......
「まっ、見られたもんは仕方ないし、殺すか」
「だね。そっちの方が後々面倒なことにならないし」
なにやら物騒すぎることを言っている。
殺すってなんだ....俺のことをか?
冗談じゃねえ...
この俺がタダでやられるかよ!!
「うおおおお!!!」
俺は二人にめがけて走りながら突っ込んでいった。
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