第11話 不穏な気配......

少女は哀愁漂う雰囲気だった。



この子には傷を治してもらった。


そのことについては感謝している。


ただそれとこれとは話が別だ。


せっかく助かったのにどうしてまた自ら命を危険に晒さなければならないんだ。



この場は大人しく去るのが正解。


魔法少女とかいうわけのわからんものに付き合う必要は無い。



「悪いな.....力になれなくて........」



すると彼女は無理やり作ったような笑顔を向けてこう言った。



「いいのよ、ごめんなさい。私の方こそ一方的に押し付けるようなことをしてしまったわね。あれだけ怖い思いをしたのに......本当にごめんなさい.....」



「あ...いや、別にそこまでは....」




「いいのよ。無理をしなくて。協力者はほかの人を探すことにするわ」




「..........ああ、そうだな。そうしてくれ....」



そうして俺は会ったばかりの魔法少女に背を向けた。



もう、会うことはないだろう。



それにしても魔法少女か........


そういう集団がいることは覚えたぜ......


次からは変な魔法少女のコスプレの女を見かけたら全力で逃げてやる!!




..............痛っ......!!



急に背部に激痛が走る。



思わず背中を抑える。



そういえばあの黄色に背中から刺されたんだったな。




(..........................?)




おかしいぞ........


たしかピーチは『傷は治した』と言った。


まだ痛いところがあるということは、完治しきっていないのか?




「いいのよ、本当に無理に協力しなくても........そうそう。そういえば、私ひとつだけ言い忘れていたことがあったわ......」



背中に当てた手に何かが付いた。



液体??



さっきまで仰向けに寝てたから湿った土が服に付いて濡れたのか.........



それにしても背中が痛い......



というかだんだん痛みが強くなっている気がする........



その手を前に戻し、目に入れた瞬間すぐにそれに気づいた。




「うわあああああ!!!」




血だ。



血がべったりとついている。


背中の痛みがどんどん強くなっている。



傷が.....開いてきている......!?



なぜ....??どうして.....???



「魔法で傷を治したと言ったわね。あれは本当よ。ただ明人君の場合は少し、いや大分事情が違うかな」



「何言ってんだお前...?治したんじゃなかったのかよ!!おい!!傷が開き始めてきているぞ!また治してくれ!!早く!!!」



「いやいや本当に...... む・り に誘って悪かったわね。良いのよ。全然協力してくれなくても.......」



「おい、聞いてんのか!!ふざけんな!!!治せって!!」





「『治す』

のではないわ。


 『蘇生』

させたのよ。明人君の場合はね.....」

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