第15話 人払いの魔法

放課後俺は転入生の小夜見桜とかいう女と屋上に来ていた。



「あら、花見くん!私のために学校案内をしてくれるなんて嬉しいわ!」



「何白々しい演技してんだ!!キモいんだよ!!」




背中に激痛が走る。




「いでででで...!!嘘嘘嘘!!」



「次はもっと痛くするから...」



瞳孔が開ききっている。


全く、冗談の通用しない奴だ....



「で?なんでいるんだよ!」



「そりゃ、昨日約束したからよ。忘れたなんて言わないでしょうね」



「だからってわざわざ転校なんかして来なくても....」



「明人君を監視するために決まっているでしょう。それに敵の魔法少女が現れたときに近くに明人君がいてもらわないと困るのよ」



「何言ってんだ!ふざけるなよ!俺にもプライバシーというものがあるんだ!!」



「蘇生魔法を使ってあげた以上、私の前ではプライバシーなんて無いと思って頂戴!」



くっ......断言しやがったこの女。



まあ、分かってはいたけどさ....



生きていたければ俺は一生この女の奴隷ということかよ。


なんて屈辱的な話なんだ.....



「ちなみに逃げても無駄だからね。明人君の命の源であるミラクルストーンは元々の所有者である私が何処にあるのか位置を把握できるようになっているから。地球上のどこへ行っても宇宙空間まて出ていこうとも居場所はまる分かりだから」



「.....はいはい、そうですか」



「『はい』は一度でいい。そんなことより明人君。早速だけど仕事よ」



「仕事?.......おい、まさか!?」



「ええ。近くに。いや、この校内に一人、魔法少女がいるわ」



「なんだと!?どうしてそんなことが分かるんだよ!!」



桜は空を指差しこう言った。



「空が赤く染まっている。近くの魔法少女が人払いの魔法を使ったということよ。外を見てみて!」



屋上から校門の方へ体を覗かせる。


奇妙なことに数百人の生徒と教師が集団で下校し始めている。


全員催眠術にでもかかったかのようにぞろぞろと出ていく光景に戦慄した。



「なんじゃこりゃあ......」



「魔法少女は弱者の味方。だから一般市民が近くにいる時は魔法を使うことに制約がかかる。ただ一般市民がいても全魔法少女が共通して使える魔法があって、それがこの『人払い』なの。本来なら凶悪な敵から市民を守るための魔法のはずなんだけどね.....」



「ちょっと待てよ。俺ってただの善良な一般市民じゃん。どうして俺には人払いが効かないんだよ?」



「それは.....」



桜は少し考えたように答えた。



「この空間に存在することができるのは魔法少女と悪の組織の一員だけ。多分だけど明人君は普通の市民よりは強い戦闘力を持っていて、しかも邪悪な性格をしていることから悪の組織の一員としてこの空間にいられるのではないかと......」



おいおい、なんじゃそりゃあ!!!

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