第7話 本物の魔法少女
「思い出した!!あいつに俺は殺られたんだ...」
刺された背中を触りながらすべての記憶がフラッシュバックする。
「あの後、死んだ君をここまで運んであげたのよ」
目の前には一人のコスプレ少女がほほ笑んでいる。
(.........................)
俺には女難の相でも出ているのか??
ここ最近女絡みでおかしなことしか起きていない。
勘弁してくれよ........
「そういえば傷は.......俺は怪我をしていたはずだ。どうして治っているんだ?」
「それは私の魔法を使って治したのよ」
「魔法?」
「私は治癒が得意な魔法少女なの。怪我くらい簡単に治すことができるわ」
魔法......??
本気で言っているのか?
だが、現に俺はこうして致命傷を受けたにもかかわらず生きているわけだし、あの時会った女たちも人間離れした身体能力を持っていた。
そしてあいつらも自分たちのことを魔法少女と言っていた。
ここまで非現実な体験をすれば本当に魔法という概念があるかもしれないと思ってしまっている自分がいる......
「魔法少女.....今たしかにそう言ったな?」
「?。さっきからそう言っているじゃない」
「.......それ、コスプレではないのか?」
「え?もしかして私のことずっとただのコスプレしている美少女だと思っていたの??」
「まあ、そうだな......というか自分で美少女って言うな!!」
(思っていたけれども.........)
すると目の前の自称魔法少女の女の子は腕組みを始めた。
しばらく何かを考えているみたいだったが、急に何かをひらめいたみたいで
「ちょっと待ってて!」と一言だけ言って目の前からいなくなった。
待つこと数分。
その子はとんでもないものを持ってきた。
「じゃーん!!ここに傷を負った狸がいます」
「え、待てお前。そんなもの一体どこから持ってきたんだ??」
「まあまあ、細かいことは気にしないで。君に今から魔法を見せてあげるから。そしたら私のことを魔法少女って信じてくれるでしょう?」
「めっちゃ暴れてるぞそいつ。しっぽ握っているから嫌がっているんじゃないか?傷からもめっちゃ血出てるし......」
「まあそれもそうね。早くしないとこの子、死んでしまうかも」
その発言に昨日の二人の魔法少女を思い出した。
もしかしてだけどこいつもヤバいやつなのか........
なんというか、俺が言うのもなんだが普通の人が持っている感情というものが欠落している気がする。
罪悪感という感情が。
人の痛みに鈍感というか無関心というか。
その魔法少女に俺はサイコパス的な気味悪さを感じてしまった。
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