第39話 喧嘩の極意!!

「志麻さん!!」



外野の幹部達が志麻の元へ駆け寄る。



「おい、お前ら。志麻を連れて帰れ!!そして、しっかり見てただろ。俺の勝ちだ。これからはもう俺に近づくんじゃねえぞ」



「......っ...!」



俺の見知らぬ顔ばかりだったが、全員悔しそうだった。



自分たちのボスがやられたんだからそれはそうだろう。


志麻のやつ、下からの信頼はある程度あったんだな....



少なくとも俺よりは。



「ま...だ....まだっすよ....」



!!!........



まさか、この短時間で意識が戻ったのか....



「志麻。お前の負けだ。何とか立ち上がってるみたいだが、まだ頭の中グルグルしてんだろ?足も少しふらついているぞ」



「..............



そう....っすね....」



しおは両膝に手を付き、地面を見てうつむいている。


やはり、ダメージは相当なはずだ。



「やっぱり.....兄貴は強いっすね〜....

このままでも勝てると思ったんっすけどね....」



「決着はついただろ。もう帰れよ。次は優しく気絶させるだけじゃ済まないかもしれないぜ」



「喧嘩の極意、その2!!


『喧嘩は心が折れた時を敗北とする!!』


まさか兄貴、忘れたわけじゃないっすよね...」



1年前、志麻に喧嘩論のような俺の理念を話したことがある。



喧嘩の極意その1


『敵は一撃で仕留めろ!!』



だったか.....


志麻の手刀はその極意をまさに体現している技だと言える。


ただその場のノリの思いつきで作っただけの語録だったのに、こいつはそれを今でもずっと忠実に守り続けているんだ.....




「そうかよ、お前がそう言うのなら...」




「お前たち....もう帰っていいっすよ...」




「「はい.....」」




!?......


急に幹部たちが背を向けて帰り始めた。


何だこいつら.....やけにあっさり.....




いや待て、それだけじゃない!?


校舎内からぞろぞろと人が出てくる。



空を見上げた。


赤い...


ついさっきまで、晴れ晴れと日が差していたのに....まさか、これは.....




「ブラックアウト....チェンジ....」



志麻の体が赤黒い光に包まれる。



頭に西洋の甲冑が被せられ、肩当て、小手、ひざ当て、すね当て、腹部と次々に防具が装着されていく....



「そんな...志麻...お前.....」




「闇を切り裂く紅き刃!!

魔法少女ブラックソード、ここに見参っす!!」




顔が見える兜と関節を動かしやすいように最小限の鎧の装備。


全体的は黒いコスチュームでところどころに埋め込まれた宝石のような装飾品が赤く輝いている。


両腕には巨大な大剣が握りしめられていて、それがこの魔法少女のメインウェポンなのだろう。



「魔法....少女....だと!?」



「兄貴にはずっと内緒にしていたっすけど、私は暗闇に潜むダークマターから市民を守るヒーロー。”魔法少女ブラックナイツ”のカテゴリに属する魔法少女っす!!どうっすか??驚いたっすか??」



「ああ...すごく驚いた......」




「喧嘩の極意その3!!


『使えるものは何でも使え!』


兄貴の教えに乗っ取り、私はこの姿で兄貴に勝つ!!!」

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