第2話 魔法少女は良い匂い


「ミラクル...ピーチ.......」



「そうよ」



「.........いや、そういうコスプレの話をしているんじゃなくてもっとまじめな話をしているんだよ俺は」



「まじめな話って.....?」



金髪少女はキョトンとしていた。


彼女にはボケる意思は無かったらしい.....



「なんだかよく覚えていないんだ......なにか嫌なことがあったような気はするんだが....気がついたらここにいて...何か知っていることがあったら教えてほしいんだ!!」



その少女はいきなり、パニックな俺を優しく抱きしめた。


甘いふんわりとした良い匂いがする。



「よしよし、怖かったわね。でも大丈夫。今は私がいるから。それに記憶の方はだんだんと思い出してくると思うから.......」



「ちょっと...なにやってるんだ!!離れて,,,,,,」




抱きつく少女を引き離そうとした。



本当はもうすこしこのまま美少女の柔らかさを堪能していたかったが、急に初対面の女の子の抱擁を受けて恥ずかしさの方が勝ってしまった。




...........が、



少女の両肩を抑え、押すが......離れない。




この子、ものすごい怪力なのか俺が渾身の力で離そうとしても、ビクともしないのだ。



それどころか全く力む様子もなく、顔を真っ赤にしている俺をよそに開いている手で頭をよしよしと撫でてきた。




おい、まじかよ。



俺はこう見えて筋トレを趣味にしていて、同学年の男子と比べても筋力にはかなりの自信がある。



そんな俺がこんな同い年くらいのきゃしゃな女の子一人引き離せないなんて....


頑張っている俺に気づいたのかコスプレ少女はこう言った。



「どう?思い出した??前にもこんなことあったんだよ。思い出さない??」



「は?お前何言って..........」



その時、たしかに似たようなことがあったような気がした。



それは金髪美少女にハグされるような幸運な思い出ではなく、


俺が全力で力をぶつけても全く歯が立たなかった悪夢のような感覚......



それを感じてからすべての記憶が呼び覚まされるのは一瞬のことだった。



俺はここで目が覚める前に出会っていたんだ。




この子とは違う別のコスプレ少女に!




「思い出したみたいだね.........」



「ああ....」



「君は一度あの場所で死んでいるんだよ...」



「やっぱり、そう...だったのか.....」




全部思い出した。


俺がついさっき体験した夢のような本当な出来事を.........

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