第45話 もうひと騒動?
「やっと目を覚ました。今度は本当に死んだかと思ったわ」
目覚めて早々いきなりそんなことを言われる。
「......俺もそう思ったよ。まだ頭がボーっとするけどな....」
「この際だから言っておくけど、私は傷を治すことはできるけど外に出た血液を体に戻したり、病気を治したりとかはできないのよ」
「そうなのか.....?治癒の魔法少女だからもっと何でもできる万能薬みたいなもんだと思っていたよ」
「......ま、そういうことだから。次からはこんなに無茶したらダメよ。私がもう少し来るのが遅かったら出血多量で死んでたところだったんだから....」
「無茶しないと勝てない奴だったんだよブラックソードは...それだけ強かった」
「それでも、明人君は勝ってくれた」
「よせよ......そんなんじゃないさ.........」
そう、勝ったとは言えないんだ。
志麻が最初からその気なら一瞬で勝負はついていたはずだから.....
「ふーん......まあ、何でもいいけどね。私はこれさえ手に入れることができれば!」
「それは.....!!」
志麻がいつも腕に着けていたブレスレットだった。
「ブラックナイツシリーズのギアはこれよ。......なんか私のやつよりちょっとかっこいいわね....」
「...............そうだ、志麻は......?」
そう言うとピーチは別の場所を指さした。
「おい、またこれかよ......」
亀甲縛りの志麻がそこにいた。
「だって暴れられたら困るでしょう?」
「いや、そういう意味じゃなくて......まあいいや.......」
気絶したままの志麻を見ると、俺が折ったはずの骨も元に戻っていた。
これもピーチが魔法で治してくれたのだろう。
―――パチッ
志麻の両目が開く。
「あ、起きた。この子も相当タフね.....」
横からピーチが顔を覗いて来る。
それを見た志麻の顔が豹変した。
「むぐぐぐぐぐぐ..........」
縛っている縄が引き延ばされ、細くなっていく。
「うごがああああ!!!」
ブチブチブチブチ.......
信じられないことに志麻は人間の状態であるにも関わらず縛っている縄を腕力だけで引き千切ったのだ。
「フーッ...フーッ.....お前が....お前が兄貴を変えてしまったんだぁぁぁぁ!!!」
手刀に力を込め、志麻はミラクルピーチに飛び掛かる。
「ほいっと!」
ピーチはそれを軽々しく手のひらで止めた。
そして志麻の右手を掴んだまま持ち上げ、地面に叩きつける。
「へぶしっ.....」と鈍い声を上げた志麻の上にピーチは馬乗りになり.........
―――ドコッ...ガスッ......ボカッ.........
ピーチは無言で、無表情で、しっかりと体重の乗ったげんこつを容赦なく連続で強打し浴びせる。
「おいおいおいおいおい!!!ちょっと....何やってんだ!!ピーチ!!やめろって!!!」
急に狂気の行動をとり始めたピーチを志麻から引き離す。
「うえーーーん.......」
ボコボコにされて泣き始める志麻。
「何やってんだよピーチ!今の志麻は魔法少女じゃないんだぞ!!」
「いやぁ.....この子は口で言うよりボコボコにして分からせた方が言うこと聞くかなと思って....」
..................
俺は志麻のことは良く知っている。
たしかに.........
たしかに志麻は理屈で納得するような性格じゃない。
だからピーチの理論も一理あるはことはあるんだ。
...................が、
だからと言ってそれを何のためらいもなく実行し始めるやつがあるか???
これだから怖いんだよ!!
魔法少女ってやつらは!!!
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