第28話 それはなぜか隣にいる
べジキャロットとの戦闘が終わり、俺は帰路についた。
傷をピーチに治してもらったとはいえ、蓄積された疲労までは取ってくれなかったようだ。
ギリギリの緊張感、想像を超えた爆発的な力。
人間相手の喧嘩だったら何人を相手にしてもここまで疲れることは無かったんだがなあ......
「ところで、明人はどこに住んでるの?」
ん?何か今とっても聞きたくない声がしたような.....
振り返るとそこには、変身を解除したミラクルピーチ、もとい小夜見桜がさも当たり前のように隣を歩いていた。
おかしいな。さっき学校で別れたばかりなはずなんだが.....
「なんでついて来るんだよ。もう今日の仕事は終わりだろ。せっかく九死に一生を得たんだ。今日はもうゆっくりさせてくれよ...」
「ええどうぞ。好きにゆっくりしてくれて構わないわ」
(お前がいるとゆっくりできないんだよ.........)
「..........」
「..........」
お互いに沈黙が続く。
えっ??何何???
どうして付いて来るんだこいつ???
意味が分からん!
桜の家も俺が帰る方向とたまたま一緒なのか?
だったら早くどっかに行ってくれないかな.....
マジで、今は魔法少女のことは忘れたい気分なんだが.........
「ねえ~まだ着かないの?」
突然かったるい声で文句を言いだす。
「何が?」
「何って、明人君の家に決まっているでしょう」
「は?今なんて??」
「だ・か・ら、明人君の家って言ってるでしょう」
さも当然のようにそんなことをこの女は言ってるが、俺は自分の家に桜を招待した覚えはない。
当然、付いて来るなんて話も今聞いた。
「さっきからやたら距離が近いと思ったらそんなこと考えていたのか!?ダメに決まっているだろ!勝手について来んなよ!!」
「まあ、酷いこと言うのね」
嫌がる俺の態度をまったく気にしないところはさすが魔法少女と言ったところか。
この若さでなんて面の皮が厚いんだ。
「私の前ではプライベートは無いと最初に言ったでしょう!それに、私の近くには明人がいないと.....離れ離れに暮らしていたら突然魔法少女が現れた時にどうするのよ!明人一人だとまともに魔法少女と戦えないでしょう?一緒に暮らしてた方がどう考えても安全じゃない!!」
(暮らすぅ!?ついて来るだけならまだしも同棲だと!?いい加減にしろ!!そんなの絶対ダメに決まっているだろ!!!)
「そんなもん知らん!!というか、どうして俺が襲われることが前提になっているんだよ!!俺はただピーチの魔法を少し借りているだけで、ただの人間なんだぞ!どちらかというと襲われるのはあいつらと同類である小夜見桜。あんたの方じゃないのか??」
「っ.......!!それは.....」
桜は困っているような様子だった。
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