第29話 とりあえず水を一杯
「どうした?図星なんだろ?俺だけが大変みたいな物言いだが、一番困っているのは他の魔法少女に正体がバレたら危険な目に合うピーチなわけだ」
「なるほど。良い推測ね」
へへ.....
苦し紛れにそう答えたが俺の予想は当たっているのはずだ。
あともうひと押してなにか交渉の余地はあるのかも.....?
お互い持ちつ持たれつつなのだから平等に、助け合っていかなければならないからな。うん。
だから少しくらい俺の平穏な日常を返せ!!
「まあ、あえて答え合わせをするとしたら半分正解ってところかしらね」
「半分??」
そうすると、俺の背中を思いっきり平手打ちで1回叩く。
「私と明人は一心同体。...ってことよ。明人はミラクルストーンを通して私の魔力が送られることで生きているわけなんだから.....だから私にもし何かが起きたらどうなるか分かるわよね??」
「え、それってもしかして.....
ピーチが死んだら俺も死ぬってこと.....??」
桜は指を綺麗に高く鳴らし、
「That's right!!」
と一言。ふざけたようにそう言った。
おいおい、なんてこった....
こいつの話を聞けば聞くほど制約がどんどん増えていく.....
俺の平穏な日常がガラガラと崩れていく音がし始めた.....
「だから私が危険な目に合わないようにしっかりと守ってね!明人君!!」
「わざわざ、俺が戦わなくても自分で戦えば良いじゃねえか....」
「さて、一緒にいないといけない理由ができたところで早速案内してもらうわ。明人君の家はどこ?」
「(聞いてねえし....)ああ、それならもう着いたぞ....」
そう言うと俺は、ピーチに最初救ってもらった河川敷から数キロ歩いたところにある別の河川敷の橋の下に着いた。
「何よここ...川の前じゃない!あのねぇ、私を家まで連れて行きたくないのは分かるけど、こんな分かりやすい嘘つく必要は無いでしょ....まさかホームレスなんかじゃあるまいし....」
「そのまさかだよ....」
俺は橋の下にあるボロボロの小さなテントの前で靴を脱ぎ、中に入った。
「えっ....
えっ???嘘でしょ??」
これにはさすがのピーチもドン引きしていた。
「元々は別のホームレスが住んでいたみたいなんだが、誰もいなかったから勝手に住み始めた。数カ月帰ってこない所を見ると持ち主は死んでしまったのかもな(笑)」
部屋の中にある木箱から水垢の付いたコップを取り出し、河の前まで行き、少女の目の前で水を汲む。
「悪いな。今水しか家にないんだ....」
そう言いながらそれを差し出す。
「いらないわよ!!!」
引きっつた表情で、大声を出された。
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