第49話 フレンドリー

「なんでついて来んだよ!!校舎の場所教えたろ!」



「君はどこに行くの?」



「あ?そんなのお前には関係ないだろ!」



「当てようか?」



ったく......一体何なんだこの女は。


おかしなやつに目をつけられちまったな…



「君、授業サボろうとしているんでしょう。そっちは屋上しかないだろうから。昼寝でもするつもりなのかな?」



………



「だったらなんだよ。サボるなとでも言いたいわけか?」



そう言うと、柊メメというこの女は階段を登り始め、俺のいる位置まで上がってくる。



「私も、授業サボっちゃおうかな」



大きな黒い瞳で俺の顔をじっと見つめる。



おいおい、初対面でここまで距離を詰めてくる人間を初めて見たよ。


普通の男ならこれで勘違いしてしまうやつもいるかもしれない。



だが、俺は違う。


最近の俺はというと、どうも可愛いかったり綺麗な女の子を見ると警戒態勢に入ってしまう。



それだけ俺はろくな目に会いまくっているのだ。



「どうしたの?早く一緒に行こうよ。屋上...」



うう....すごい断りたい。


俺は一人になりたかった。



ここでいつものようにバッサリ断ってもいいが、そうしてしまうと、なんとなく嫌な予感がする。



俺がこいつを泣かせてしまったとして、それが桜にバレたとしたら、サボりの罪も加えられて背中のあれをまたしてくるかもしれない。



ここは適当にこの子に付き合ってやって、適当に分かれるとしよう。


こいつとは学年も違うから、別れたらもう二度と会うこともないだろうからな。



「分かった。行くよ。でも屋上に行っても楽しいことなんかねえぞ。俺は昼寝しにいくんだからな!」



「それでもいいわ。それじゃあ私も一緒に添い寝しましょうか?」



―――ブフッ...!!



「あははは(笑)冗談よ!」



クッソ....おちょくりやがって!!





こうして俺と柊は屋上へと向かった。



「屋上が解放されている学校なんて珍しいわね。普通なら安全のために立ち入り禁止にしているところが多いのに」



「ああ、鍵なら俺が壊したからな....普通に入れるぞ」



「えっ.......ええ......」




屋上の扉を開けた俺は柊を置いて一目散に日陰の当たる隅の定位置に行き、横になった。



「本当に寝ちゃうんだ....」



俺を上から覗き込むように彼女はそう言った。



「最初っからそう言ったろ」



『ふーん.....二人っきりなのに、この私を無視するなんてね....』



「ん?」



「ねえ、少しだけでいいから私とお話ししない?私、もっとあなたのこと知りたいな.....」

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魔法少女はピークアウトです!! 雪だるま式 @mukimukimazyutushi

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