概要
知られざる戦国・奥州の悲恋。少年は迷路のなかに極楽と地獄をみる。
(そのわたくしを、斯様にも想ってくれるのか、この子は……。)
(まだ女を知るわけでもないから、このさ栄などが別儀に思えるのだな。)
(じゃが、いずれ、縁談でもあろう。松前の実家からか、あるいは御所さまのお肝いりでかで、どこかの相応しい娘が、新三郎にあてがわれる。この子なら、どんな娘も喜んで嫁ぐじゃろう。)
(そうなれば、新三郎も、無名舘の出戻りの姫のことなど、きれいに忘れてしまう。)
それを想像して、さ栄は、厭な気持ちに胸を刺された。それは悲しいな、と思っている自分に気づいた。
戦国・永禄年間の北奥州・津軽。
蝦夷代官家の三男坊の少年、蠣崎天才丸(のちの新三郎慶広)と、名族浪岡北畠氏の姫君の、恋と戦いの物語。
蝦夷島自立の野望を秘めた父の思惑で、故郷松前を離れ、北奥州きっての名
(まだ女を知るわけでもないから、このさ栄などが別儀に思えるのだな。)
(じゃが、いずれ、縁談でもあろう。松前の実家からか、あるいは御所さまのお肝いりでかで、どこかの相応しい娘が、新三郎にあてがわれる。この子なら、どんな娘も喜んで嫁ぐじゃろう。)
(そうなれば、新三郎も、無名舘の出戻りの姫のことなど、きれいに忘れてしまう。)
それを想像して、さ栄は、厭な気持ちに胸を刺された。それは悲しいな、と思っている自分に気づいた。
戦国・永禄年間の北奥州・津軽。
蝦夷代官家の三男坊の少年、蠣崎天才丸(のちの新三郎慶広)と、名族浪岡北畠氏の姫君の、恋と戦いの物語。
蝦夷島自立の野望を秘めた父の思惑で、故郷松前を離れ、北奥州きっての名
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