第39話 続々と集合し
赤い月を彼方に見つめながら、彼は静かに歪な玉座に座っていた。
現在の妖魔王――かつての名を
異形になり果てた己の身体にすら、興味がないのだろう。
戯れすらすることなく、ただ見つめていた。
――戦いの始まりを予見しながら、それでも一切動くことなく。
****
「たっくん?」
「……なにがあった?」
それでも黙り込む
「あの……失礼ながら一言よろしいでしょうか?
「お、れ……は……」
言葉を詰まらせる彼に対し、冷静に告げた。
「逃げるのですか? それは……あなた様の目指す道だったのですか?」
「それは……」
(俺は逃げて来た……。父さんの死からも、母さんの再婚からも。そして――今は相棒からも)
再び沈黙する
「
彼女の言葉に、
「わたくしの勝手な想いでございますが……あなた様なら大丈夫だと信じております。いえ、確信しているのです」
「なんで? 俺にそこまで期待するん、ですか?」
その問いに答えたのは……水晶からの声だった。
『それは、君が心では望んでいることだからだよ』
驚き、水晶の方へ視線を向ければ……うっすらと
「
『やぁ、ようやくお会いできましたね?
「そのようですね……」
二人にしかわからない会話をされ、三人が困惑していると背後から聞き覚えのある声がしてきた。
「
声の主、
「あなたは……?」
「どうも~オレちゃんは、
『子孫の子か。あの子以来だね……ここに来ることができた子は。相当やられたはずだけれど、彼は元気なのかな?』
「あー……一応無事っスよ。まぁかなり損傷ひどくて片目義眼の片手義手に両足義足。そんな状態でも退魔師やってるス。まぁさすがに恥だったのか、今はルッツとか名乗ってるけど……」
トクタイでも最上級に強い退魔師――ルッツこと
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