第42話 作戦開始

「二人とも戻って来たぁ~!! 聞いておくれよ~!! 作戦がとんでもなくてさぁぁぁぁ~!!」


 辰真たつま達が戻るなり、志修那しずなの情けない声が響く。


伊鈴ノ宮いすずのみや先輩? とんでもないって……?」


 尋ねれば、等依とういが少し口角を上げながら口を開いた。


「半妖が核になるのなら、別の半妖をぶつければいーんスよ!」


「いやいや! そんな都合よく半妖なんているわけないでしょー!?」


 叫ぶ志修那しずなの声と激しい音が響いたのは同時だった。


「なんだ? 妖魔殺しの儀式が進んだのか……?」


 操姫刃ときはの問いに答えを出される前に、激しい音のした方向から空間に亀裂が入り、そこから……人が現れた。


「なんとか入れましたで……って等依とういさん!? ここになぜいたりされてたり……!?」


「やほー! おひさっスね~空飛あきひちゃん? いやー俺ちゃんの式神能力向上の成果が出て、ありがたい限りっスわー」


 名を呼ばれた人物……空飛あきひが首を傾げれば、等依とういが彼に向かって声をかけた。


「いや、空飛あきひちゃんの気配察知してたんで? つーわけで……妖魔殺しの儀式に介入作戦、やるっスよ~!」


「……はい?」


 状況を分かっていない空飛あきひと、作戦内容を知らない辰真たつま達に説明がされた。


 ――妖魔殺しの儀式の核は、半妖が理に接続し、妖魔という概念を壊すこと。


 ――故に、別の半妖が接続に介入すれば……時間が稼げる。


「なるほどでございます。では、やりましょうです!」


「いや、アンタそれでいいわけ!? めちゃくちゃだよ!? っていうか、トクタイに半妖いるとか聞いてないんですけどぉぉぉぉ!!」


 またしても声を張りあげ叫ぶ志修那しずなに、空飛あきひが朗らかに答える。


「なにせ、等依とういさんの作戦ですからね! 僕も気合をいれないとでございます! はい!」


(凄い信頼関係だな……。そうか……俺達も……)


「タツマ? 大丈夫か?」


 に声をかけられ、辰真たつまが頷き口を開く。


「やろう。世界を……救うんだ」


 言い切る辰真たつまに、操姫刃ときは楓加ふうかも同意を込めて頷き、それを見て志修那しずなも諦めたのか頷いた。


「じゃー! やるっスか!」


 こうして、今のEチームとかつてのEチームだった二人が動き出した。

 作戦開始のために動き出す彼らの背中を、である公謐きみひつ雪原ゆきわらむすめが優しく見つめていた――。

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