第38話 交差する想い
「……」
長い沈黙が
先に口を開いたのは
「タツマ……ワタシは……」
「……もう俺は、何も信じない……」
それだけ言い捨てると
「待ってくれ、タツマ! ここは危険なんだ!」
その声すら振り切って、闇雲に走る。走って走って……。気づけば、妙な場所へとたどり着いた。
「はぁはぁ……」
息が切れ、心臓の音がうるさい。だが、目の前のモノを見た瞬間――
「なん、だ……これは……?」
そこにあったのは、大きな水晶の塊。
それもただの水晶ではない。
中に……人がいる。それも先程まで会話していた――
「どう、いう……こと?」
あらゆることが起こりすぎて、
聞き覚えのある声が響いてきた。
「あれ~? たっくん?」
声した方へ視線を向ければ、そこには入院中なはずの
「なんで二人がここに? それに……その人は?」
尋ねる
「私は
「……救、う?」
それに耳を傾けながら……
――歯車は回り出したのだと――。
****
その頃。
「……ワタシは……」
そう呟く彼の瞳は何かを決意したような意志を宿していた。
「タツマ……お前の信頼を……裏切るつもりはないんだ。だから……だからこそ……ワタシも覚悟を決めよう」
静かに呟くと、彼はゆっくりと動き出す。
全ては――あの日誓った約束を果たすために。
****
赤い月夜が街を照らす。
不気味なほど美しい月明かりが、霧によってかすんでいく。
何かの予兆といわんばかりの
「みんな、準備はいいね? 行くよ?」
ルッツの言葉に、近くにいた茶髪の青年が声をあげる。
「当然です、ルッツ先生。俺達の世界を守るためにも、行きましょう! 狭間へ!」
「いい意気込みだ
静かに彼ら、トクタイが動き出す。そして、『革命の奏者』との決着をつける時が迫るのだった。
――世界の命運とともに。
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