第31話 門

「一体……なに、が!?」


 思わず辰真たつまの語尾があがる。目の前に現れたのは、

 禍々しいオーラをまとった、黒い和風の門がそこにあった。


「なんですの!? これは……!?」


 麗奈れいなが声を張りあげながら、門を睨みつければゆっくりと両開きの扉が開いた。そこにあったのは、渦巻く

 そこから黒い大きな手がゆっくりと現れ、門から出てこようとしている。


(これは、……!)


 直感的にそう感じた辰真たつまは魔本・刹歌せつかを開く。麗奈れいなが鉄扇を広げ雅姫まさきが薙刀を門に向ける。そして志修那しずなが人造式神の一体、武律ぶりつを出した。


 緊張の最中、現れたのは全長が把握できないくらい大きな身体に両手、そして不釣り合いにずんぐりとした両足をした妖魔だった。


 身体からよどみを発生させているその妖魔の顔には、目がなかった。


「どう、しますか? 相手の動きが! 読めません……!」


 辰真たつまが声をあげると同時に、妖魔がその不釣り合いな体型からは想像もできない速度で辰真たつまに向かって突進してきた。


(は……やぁ!?)


 その攻撃を魔本から出たライが辰真たつまを背に乗せ移動したことで回避できた。だが……。



【ふむ。この妖魔、こちらに標的を絞ったか?】


 ライの言葉通りのようで、辰真たつま達の後をどんどん追ってくる。縦横無尽に追いかけてくる妖魔に向かって、魔本から拳銃を出した辰真たつまは発砲するが、上手く当たらない。


「外す……か。なら! ライ!」


【おう!】


 辰真たつまは拳銃を魔本へと戻し、かわりに黒い刀を取り出し構えると、ライが辰真たつまを乗せたまま方向転換する。刀を垂直に構えたまま妖魔に向かって行く。


「……今! 術式じゅつしき肆銘しめい! 雷砲烈火らいほうれっか!!」


 手にしている刀に雷が集まり、それを纏った飛ぶ斬撃を妖魔に放つ。雷鳴を轟かせながら、見事、妖魔の顔面に当たった。


「よし……ライ! このまま!」


【あぁ、トドメを刺すとしよう】


 よろけた妖魔の足元に向かって、再度同じ技を放つ。右足に命中したのを確認すると、辰真が右手から左手に刀を持ち替え、魔本から拳銃を取り出して祓力ふつりょくを込め、左足と両腕を狙い撃つ。


 辰真たつまの持つ拳銃は、祓力を乗せた分で弾数が変わる。故に……ある意味では無限に放つことができるのだ。


(数撃てばいいだけだ……精度は後回し……!)


 妖魔に向けて何発も発砲する。両腕と左足が吹き飛び、大きくバランスを崩した妖魔はその場で倒れた。


「このまま! トドメ……を……!?」


 今まさにトドメを刺そうとライから降りた辰真たつまが思わず息を飲む。なぜなら――妖魔の身体からよどみがあふれ出したからだ。


「な、なんなんだ……!? この妖魔は……!」

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