第46話 衝撃の事実

 その頃。

 ライから告げられた事実に、辰真たつまは混乱していた。


(時間を繰り返している? 何度も敗北? ……意味がわからない)


「意味がわからないだろうが、事実なんだ」


「もっと……詳しく教えてほしい。でないと理解出来ない」


「わかった、順を追って話そう」


 ライが静かに語り始めたのは、衝撃の内容だった。

 曰く、この世界は何巡もしていると。

 そして何度も『革命の奏者』に敗北していて、その度に時間をある所まで巻き戻す事で、しのいできたのだと。

 にわかには信じ難い話だった。

 だが、ライの口ぶりが嘘ではないのだと物語っていた。


「でも……それと俺達になんの関係が?」


「そこなんだタツマ、話の肝は何巡もした世界の中……ワタシ達が出会ったのは今回が初めてなんだ」


「は……?」


(意味がわからない……)


 理解出来ないでいる辰真たつまに対し、ライが続ける。


「何巡もする度に、世界には少しづつ変化が起こる。その中の変化の一つが、ワタシとタツマの出会いなんだ。いいか? 何巡目かにしてようやく出会えた世界線……それが今なんだ」


「なるほど? つまり、今までは出会ってなかったって事……か?」


「そうだ。だからこそ、大きな変化が起ころうとしていると、今度こそ勝利出来ると判断したから、彼らと出会ったんだとワタシは思う」


 ライの言う彼らとは、蒼主院公謐そうじゅいんきみひつ雪原ゆきわらむすめの事だろうと辰真たつまは思った。

 どうやら、それは当たりだったようで、ライから二人の名が出た。


「キミヒツとあの娘が、世界を巻き戻すそれぞれカギのようなものなんだ。だが、カギがあるだけでは扉は開かず、先に進めないだろう?」


「そうだな。その扉が……?」


「それが、ワタシなんだ。タツマ」


 世界の命運に自分が深く関わる事に、ようやく実感が湧いて来た辰真たつまは、静かに息を吐き覚悟を決める。


「世界を……救おう。そのために、どうしたらいいのか教えてくれ」


「無論だ。そのために、ワタシ達はここにいるのだから」


 異空間の更に異空間、不可思議な場所で辰真たつま達は動き出す。

 今度こそ、ことわりを壊させない。

 そのために――。

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