第7話 初任務は
「……今日集まってもらったのは、いよいよ初任務だから。心して聞くように」
九十六期Eチームとなって数週間。
「はぁぁいぃぃ!? い、い、いきなり初任務ぅ!? 聞いてない! 僕はそんなの聞いてないぞ!」
「……今言ったからね? それはさておいて。これより概要を説明するから資料を手に取って」
「そんなぁ!?」
情けない声を上げる
「今回課せられた任務は……
妖魔憑きという単語を聞いて、
「妖魔憑きとはなんだ?」
彼女の疑問に答えたのは、ライだった。彼は
【妖魔憑きというのは、憑りつく系の能力を持つ妖魔に文字通り、憑かれている状態の人間のことを指す。わかりやすい例を出すと悪霊に憑りつかれているようなものだな】
「それはお前達とはどう違う?」
「……俺達は妖魔憑きとは違います。その、……
対等という言葉に
「そうか。まぁ、妖魔に憑りつかれているのと、契約はまた別物か。余計なことを
「……あ、いえ……」
上手く返答できない
資料には、一人の青年が写っていた。気弱そうだが、その目つきは鋭く暗い。
「この人が妖魔憑きなん? なんか怖い顔してるねー」
「こんな! いかにも危なそうなヤツ相手に、僕は前には出られないからね!? 無理! 無理だから!!」
騒ぐ彼を横目に見ながら、
(妖魔憑き……。支配関係……か。苦しい、だろうな……)
****
「うぅぅぅ……!」
うす暗い路地裏を歩きながら、青年は
【どうしたァ? ビビるこたぁねぇぜェ?】
「うっる……さい! オレを、オレは……!」
わずかに残っている抵抗の意志を示すと、妖魔は笑う。
【いいねェ! それこそ、オレの
どこまでも狂った笑い声を、自身の内側から聴きながら青年は天を見上げる。
「だ、れか……オレを……殺して、くれ!」
悲痛な声をあざ笑う声に、青年は自分が蝕まれていくのを感じていた。
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