第10話 まみえるは
「はぁはぁ! クッソぉ! 来るなぁぁぁ!!」
青年は大声を上げながら、炎を全身に
「ちっ、熱いな。差し詰め、憑りついてる妖魔は火属性といったところか?」
【案ずるな。今、解放してくれる!
前足を交互に動かしながら、ライが飛ぶ衝撃波の爪を飛ばす。それを青年は炎の壁を出して防ぐ。だが……。
「……背後はもらいました……!」
ライに気を取られていた青年の背後に、いつの間に回り込んだのか
「チェックメイト、だな? 妖魔憑き、大人しくおれ達に降伏しろ。……お互い、合理的に行くとしよう?」
半分脅しのような口調の彼女に答えたのは、どこからともなく響く"声"だった。
【はっ! たまんねェなァ! オレもォ乗ってきたぜェ!? なァ、
「う、うるさい! 悪魔が!
青年――
「……貴方……死にたいんですか……? なのに……妖魔憑きに?」
「ああそうだよ!! 悪いか!?」
怒気を含んだ
【いい感じの絶望具合だろう、
その言葉を最後にその声は聞こえなくなった。だが、それと同時に
「あはははは! いいねェ! 来たぜ来たぜェ!」
先程までとは違う口調、声色、そして気配。降ろしていた茶髪を上に掻き上げると、しばらくして落ち着いた動作で
それを防ぐ二人に向かって、
「やっとォ! 馴染んだなァ!!」
その言動と行動は明らかに、先程までの
「
「っ! はい!」
そう
「お前らはァ、強いのかァ? それとも雑魚かァ?」
「強いかどうかは、戦えばわかることだろう? なぁ……『
彼女にそう呼ばれた彼は高らかに笑う。
「正解だァ、トクタイさんよォ! 褒美の炎だァ!!」
防御技を展開したままの二人に向かい、炎の弾丸を二発放つと、『爆炎の妖魔』は狭い屋上から――勢いよく飛び降りた。
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