第38話 僕とパンツと喧嘩の内容

「じゃあ、木曜にあったこと、全部話すね。

 まず、私は華憐ちゃんとの喧嘩の原因を話すために、朝になにがあったから話始めなくちゃいけないの。

 まず、私が優くんのせいで遅刻して教室にいったじゃない?そうやって席について、机の中に手を入れると、そこには手紙が入っていたの。さっきは全部話すといったのだけど、その手紙には表に、誰が出したかを誰にも話さないでほしいって書いてあったから、誰が書いたかは言えないわ。ごめんなさい。

 もちろん、名前を伝えてはいけないと書いてあったぐらいなのだから、中身に関しても言わないに越したことがないのだけれど、話が進まないからいってしまうと、そこには、お昼休み話があるから、屋上に来てくれないかって書いてあったの。

 だから、私は、仕方なく、優くんとのお昼を我慢して、屋上にいったの。

 そこで、私は手紙の送り主さんから、話を聞いたの。華憐ちゃんが優くんに告白の手紙を出して、そして、優くんがその告白にイエスの返事を出すべきかどうか相談をされた、って。

 私はそこで動揺しちゃったの。それは華憐ちゃんが告白したのも驚いたけど、それよりも優くんがその返事で迷っているって部分に。

 なんでって、それは、私は優くんのことが好きなんだし、もし受け入れちゃったら、私は彼女になれないんだから…恥ずかしいこと言わせないでよね!

 それに、その日のお昼休みは華憐ちゃんと優くんが親しげにお昼ご飯食べていたんだもん。動転して優くんに聞けないのも仕方ないでしょ。

 それで、その後の二時間、そのことばっかり考えていたのだけど、すこし冷静に考えてみると、常に一人で探偵をしていて、男に一切興味がない華憐ちゃんが話したこともない優くんにいきなり告白なんて考えられないって思ったの。

 ごめんごめん、失礼だったかな。でも優くんのいいところって、顔とかよりも、むしろ内面というか、暖かさというか…なんでもない!

 だからね、私は隠し事苦手だし、直接華憐ちゃんに聞いてみようって考えたの。それで、実際にそれを実行したの。放課後に。

 そうすると、華憐ちゃんは、実際に優くんに告白したっていったの。なんで話したこともない優くんに告白なんてしたのってきいたら、私の好きな人だったから、奪ってやりたかった、なんて言ってきたから、私も、ついカッとなって、それで喧嘩になってしまったの。」


 その後、僕は、立花さんに渡された手紙の話を、一部分秘密にしながらも概ね話した。

 彩女の話は分かりやすかったし、僕はその話を聞いて、概ね誰が手紙を出したのかは分かったのだったが、深い疑問が心に残った。そのことを顔をみて悟ったのだろう。彩女は付け加えて、

「華憐ちゃんは、確かに頭がよくて、言葉が尖ってしまうことはあるのだけど、けど、誰かを傷つけようとして行動する子じゃないって、思う。親友だから、わかるんだ。

 それに、誰かのことを好きなんて、たとえ何かをごまかすためでも、嘘で軽々しく言 えることじゃないし、それに、華憐ちゃんは軽々しく言う子じゃないよ。だから、私にはなにか理由があったんだって思えるの。」

そういって、一呼吸おいてから、続いて、

「だから、大げさだけど、華憐ちゃんを助けてあげてほしいな。」

 そう弱弱しい笑いを浮かべながら、言うのだった。

「心配するな。僕は、女の子の味方だから、きっと助けてやるさ。」

 僕は笑ってほしくてそんなことをいうと、

「私だけの優くんになってほしいのだけど…」

 なんて苦笑いを返されてしまったのだが。

 まだ具合が悪い彩女のことも考え、長く話すのも迷惑だろうと思い、そこで切り上げ、明日朝会うことを約束して、彩女の家を出た。

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