第47話 僕とパンツと名推理

「推理といったものの、まず最初に語ることは、僕が思い出した事実の話で、決して推理とは言えないのだが、まぁ、話そう。

 僕は昨日、ずっと立花さんのことを考えていたのだが、いやいや、ここで顔を真っ赤にさせないでほしいんだけど、話し辛くなっちゃうじゃないか!

 そこで、僕は、大きくは三つのことを考えた。一つは、何故立花さんが僕を好きだといったか、二つ目は、何故立花さんは春樹のことを調べているのか。そして最後に、立花さんの恋する少年が誰なのか。であった。

 けれど、最初はどれもわからなかった。仕方ないだろう。僕は君みたいな天才的名探偵じゃないのだから。そこで照れなくていいから!

 だが、解決の糸口を見つけたのは、残念ながら、かっこよくもなんともなくて、結局、パンツに関しての話だったんだ。

 僕と口論になったあの日、立花さんは、泣いていて冷静でなかったから気づかなかったかもしれないけれど、あの坂道をスカートで走っていくと、坂道の下りからみるとパンツが見えてしまうんだ。いや、むしろここで恥らってほしいんだけど!なんでここだけは堂々としているの?パンチラは恥じらいが命だよ!?

 とにかく、僕はそのことをふと思い出したんだよ。いや、興奮したか、だって?いやいや、なんでそんなことを聞くんだよ。まぁ…興奮したけど。あぁ、確かに興奮したけども、そういう話じゃないんだ!全く、推理の途中に割り込んでくるなよ!

 それで、その姿を思い出しながら、同時に僕は思い出したんだ。昔、僕の家に遊びに来た女の子の、はしゃいでスキップしながら坂道を登って帰っていくときに見えたパンツを。

 あぁ、もうこの部分に関しては謝るしかないよ。ほんと申し訳ない。立花さんが頑張って、探偵で名前を有名にして、僕と事件を共に解決しようとして、そうやって努力した部分では何も思い出せず、挙句の果てにパンツをみて思い出すのだから、自分でも恥ずかしい限りだよ。けれど、これが僕という人間なのだから、許してほしい。

 ここから先を話すことは、それも立花さん本人に話すことは、顔から火が出るぐらい恥ずかしいことなのだけれど、この事実から明らかなのだから、言うしかない。

 まず、立花さんが小学五年生の時に恋したのは、僕で、そして、春樹を捜査して、僕に協力を頼んだのは、僕に、探偵としての自分をみせることで思い出させようとした。

 そして、最後の疑問も解けてしまった。彩女との喧嘩のなかで僕に告白したなんて言ってしまったのは、決して喧嘩して、その後僕と喧嘩別れを演じるための布石なんかじゃなくて、立花さんの僕への恋心ゆえだってことを。

 待て。君が推理を途中で妨げられるのが嫌いであるように、僕もそういうのはよろしくないと思うよ。それに、そうやって否定してくることは、僕ぐらいでも予想はついていたよ。だから、僕の話の最後は、きっちり推理で決着をつけよう。

 立花さんは、まず、僕が友達と白いパンツが好きだって話をしていたことを知っていた。何故だろうか。これは僕が放課後友人と教室に残り、だらだらと話していたことなのに

 次に、立花さんが僕と喧嘩した日にも、そして今尾も、白いパンツを履いている。そう、僕の一番好きな、白を履いている。これは何故だろうか。

 これを考えたとき、結論は一つになる。そうさ、

 立花さんは、僕が好きだ!そうに違いない!」


 決まった。完璧だった。こんなにも恥ずかしい結論を、こうも堂々と言ってのけた探偵もいないだろう。探偵史に名を刻むぞ!

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