第17話 僕とパンツと愚痴
こんな感じで張り切って作戦を話したものの、僕の気分は真っ暗であった。確かに、一時期は性欲を前に友情を切り捨てた男である僕であるが、いつもは友情に厚い男であり、友人、ましてや親友の春樹に隠れて春樹の謎を突き止めようとするなんて、実に憂鬱そのものである。変態王子と笑えない紐パン女である。
愚痴を言っていても始まらないが、しかし、愚痴を続けさせてほしい。
体育が五時間目にあるってことはつまり、その前の休み時間は昼休みということになるのだが、こうなると、誰がいつ着替えるか微妙になってしまうのである。確かに、女子がお弁当を食べ終わって教室から出たあとという曖昧な基準はあるが、その後はまちまちなのである。
それに、普通の女子ならば、着替えがあるということを考慮して、できるだけ早く食べて外に出ようとしてくれるのだ。それはいつもならありがたいことなのだが、しかし、言ってしまえば、そうされることで着替える時間の選択の幅が広がってしまうのである。
そして、自分のことに関していえば、実は毎日、昼は彩女と食べているというのに、こうやって五時間目に体育があると、彩女がご飯を急いで食べてしまうがために、会話が少なくなってしまうのだ。僕の幸せが、数少ない幸せのかけらがそうやって体育によって奪われてしまうのである。まぁしかし、彩女がご飯を食べている姿を近くで見られるってだけで幸せなのだけれど。
だって、その小さめの口にご飯がお箸によって運ばれて、で、それでスッて食べられていくのである。そしてたまに口の端っこにご飯粒とかがついちゃうのである。語彙力不足甚だしいが、しかし、とにかく可愛らしいのである。もう完全に癒しの泉なのである。
それなのに、それなのに、僕はこの昼休みのご飯をなくなく彩女とではなく、春樹と食べなければならないのである。全ては作戦のために。このくだらないパンツ観察作戦のために。もう悲しみの泉であった。
決して春樹と食べるのが嫌なわけではないのだな、春樹はイケメンであっても男だし、恋しているわけでもないし、話は面白いのだけれど。
彩女のお昼の誘いを断りつつ、春樹と食事である。
彩女は、少し悲しそうな顔をして他の友達とご飯を食べているし、春樹は少し怪訝そうな顔をするものだから、
「たまには男同士でエロ話しながらの昼もいいかなって思ってな。」
なんていえば、春樹から、
「別にそれはいいけれど、女性を悲しませるなんて感心しないな。」
なんて返される始末である。もう悲しみが溢れそうなのはこっちであった。
愚痴はこれぐらいにしよう。らちがあかなくなってしまう。
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