第24話 僕とパンツと自爆

 まぁ、とにかく、いつもは待っているといっても五分間ほどだし、待ち合わせ時間から十五分も早くにいるようなこともないのであるのだが、その日はそうだったのだから、不思議にも不安にもなるものであった。

「別に…何でもないわよ。」

「そんなわけないだろ。待ち合わせ時間のかなり前から待っていたなんて、何か話したいことがあったんじゃないのか。」

「なによ、そうだってわかっていて、それなのにいつも通りの時間に出てきたの?それでこんな態度な訳!?最初に言うことがあるんじゃないの?」

「すいませんでした。」

 まさしくその通りであった。勇者団最後の一人も遂に屈服。言葉攻めされて謝罪をしてしまう有様。情けない限りであった。

「なんで私が怒っているか、わからないの?心当たりないの?私がわざわざ待ち合わせ時間より早くから出てきちゃうぐらい怒っちゃう理由がわからないの?」

 いやいやいや、さすがに怖すぎであった。怒りすぎであった。というかさすがにそんな怒らすようなこと僕はしたのだろうか…と真剣に考えた。もしかして…

「僕が中二のとき、彩女のパンツを盗んだこと?」

「え?というかあのパンツ盗難事件、全部優ちゃんが盗んでいったってこと?あんなに大量に?」

 あ、なんだこのことで怒っていたんじゃないのか…というか、自分で自分の墓穴を掘ってしまったんじゃないのか!?

「なんで私のパンツを盗んだの?」

「いや、彩女のパンツ欲しいなぁ、って思ったからだけど。」

 そんなこと当然である。ある有名な登山家が、山があったから以上に明白な理由である。そこにパンツがあったから…

「いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、普通に犯罪だよ。盗難だよ。こんなことばれたら捕まっちゃうよ。」

「いや、それだけは嫌だ。お願いだ、彩女。その時はパンツを譲ってくれたということにしてはくれないか?」

 あきれ顔の彩女。

「なんでそうしてくれると思ったのかなぁ…」

「ちゃんと全部返すよ。使用したのはしっかりと洗って返すからさぁ。」

「待って。使用ってどういうこと?優くんがはいたってこと?それとも妹さん?どうやって使ったか教えてくれるかしら。」

 さすがに僕も女性で、幼馴染で、それで好きな人の目の前で下ネタをいうのは憚られ、顔を真っ赤にしながら答えた。

「マ、マスターベー…」

「いい。もういい。言わないでいいわ。それは直接警察官の方に教えてあげて。いまから私が読んであげるから。」

「すいません。ごめんなさい。許してください。もうしませんから、警察だけは勘弁してください!」

※このパンツは彩女さんからのプレゼントということにするという取り決めのもと、掲載しています。決して法に違反することなどおこなわれていません。通報しないでください。

 しかし、この話で怒っているのではないのか。ならば何のことで怒っているのやら、と考えみたが、思いつかないのであった。

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