僕とパンツと名探偵
第07話 僕とパンツと春のパンツ祭り
春といえば、なんであろう。
たとえば、桜。桜が満開の中、少女たちが新しい学年と友達に思いをはせながら学校へと向かう通学路。初々しい制服を来た新入生。きっとそういうものを想像するだろうし、きっと普通の物語とかアニメとかならそういうものを描くだろう。
だが、僕の住んでいるところは、東京都のベットタウンである埼玉県であるのだ。先にあげた桜なんて、道には咲いてはいないし、申し訳程度に学校に入る門に一本植えてはあるがしかし、微妙に都会であり、田舎でもあり、さらに気温も微妙となれば、入学式の時にはもう咲いていない。散ってしまっているのだ。
桜は去り際が美しいといわれるが、そんな一本の桜が散っていたってちっとも感動的でもないし、散ったはなびらなんか用務員さんがさっさと箒で掃いてしまうのだから、もうなんでこの桜植えてあるのだろう、というような感じである。更に行ってしまえば、最近なんて、春を桜で感じるのではなく、スギ花粉で感じるというのだからたまったものではないのである。
そういう観点からすれば、僕は、明らかにデパートのほうが季節を感じられると思うのである。
たとえば、入学式をうたったランドセル売り場。
新たな生活への期待に満ちた新小学生たちが、色とりどりのランドセルを前にはしゃぐ姿。素晴らしいのである。まさしく春である。そう、この僕も三月ごろに、純真無垢な少女たちをデパートに見に行ったうちの一人である。このすさんだ世界で目の保養が何よりも大事であると切に感じた。
そして、話は変わってしまうが、もう一つ僕は切に言いたいことがある。なぜその時期にホワイトデーなんてものが設定されているのか。実に不愉快な企画ではないか。たとえば、チョコをもらって返そうと買いに来る男。心の中がにやけているのが見え見えである。ふざけるのもいい加減にしろ。僕はもらってここにきていますよ、みたいな顔をするな。
そして、何故かバレンタインもホワイトデーもチョコを買いに来る女性。なんでわざわざチョコを交換し合う必要があるのだ。ひとりで買ってひとりで食べればいいじゃないか。だいたい、僕なんてチョコをバレンタインにノリで買って、一人で食べるのも悲しいから春樹と食べていたら、クラスの女たちからにらまれるし、それならまだいいものを、その目線に気付いてないのか、春樹のやつは、ホワイトデーにお返しとかいって僕にチョコを持ってきたものだから、バレンタインデーに春樹にチョコを渡したのになにも貰えない女子たちに放課後呼び出されたのだ!納得いかない。春樹は僕に恨みでもあるのか。
そして、最後に、義理チョコをもらってしまった財布が寒いサラリーマンの方々。同情いたします。こっちまで悲しくなってくるよ。もう将来に何の希望も持てないよ。これから僕は机に、ご自由に取ってください、みたいな感じで置かれた義理チョコをもらうためにがんばれというのか!
…話がずれていってしまったが、本題に移ろう。
え、本題がなんだって?もちろんそれはこの本の語るべき主題、パンツについてに決まっているではないか。
春のデパートのなかで色とりどりカラフルに彩られているのは、決してランドセル売り場だけではない。女性パンツ売り場に行けばわかると思うが、パンツの柄というのはとてつもなく種類が沢山あるし、色とりどりで、そこは妙にカラフルだ。しましまから、水玉、いちご、無地のものまで柄は揃っていて、それがあらゆる色で散りばめられている。
みなさんはどのパンツが好みであろうか。
大人のお姉さんなら、紫か黒か、そんな大人っぽいパンツであろうか。
幼女なら幼女らしくくまさんが真ん中に書いてあるようなものであろうか。
はたまた女子高生なら見えた時に形がわかるしましま柄だろうか。
だが、ここで僕は言いたい。
こんな年齢の時にしか栄えないものは、真のパンツの王道とはいえないのである、と。
例えば、みかんも、スイカもうまい。ただ、みかんは冬、こたつの中で、スイカは暑い夏に、食べて初めてうまいのである。これは、真にうまい食べ物だと言っていいのか。真にうまい食べ物は、やはり、肉だ!
肉は冬の寒い時に、焼肉にして食べても、鍋に入れても、うまいし。さらに夏は、バーベキューに、海に、肉が最も合う!つまり、最も肉がうまい、ということだ。
同様にして考えれば、どの年齢が履いても栄えるパンツこそ、本当の最強のパンツとなる。
そして、そのパンツとは、純白の白、ただそれだけである。
まさにどの世代においても、白というのは清いものの象徴だ。
ふと見えてしまうその純白の白、正しくどの女性の純粋さを映し出す、そんな色である。
そして、さらに、もし彼女のパンツが、白なら、彼女とイチャイチャした後にふと見えるパンツの純白の上につく少しの汚れ!
そう、それは彼氏である僕が、彼女の純粋を汚した証拠!最高だ!最高に素晴らしい!その後は、(これ以降は検閲により削除されました。)
本題に戻ろうじゃないか。本題とはもちろん僕の学校生活、そして能力のことだ。
といっても、僕はさっきのようなくだらない妄想話に放課後、花を咲かせるような、そんな感じの学校生活を過ごしていたのである。
はじめの頃はパンツをみて妄想を膨らませていたが、二、三日と経っていくと、流石に疲れと飽きで見る気も失せてきて、彩女とその友達の立花さんのぐらいしか見なくなってきていた。だって見たい子なんてそれぐらいしかいないというのが本音でもあった。一貫して彩女のパンツは子供っぽい柄で、立花さんは結構ランダムだけど、普通の種類のものが多い。たまに子供っぽいのが来ると萌えました。はい。
そのパンツの事情が変わったのは、僕の中では重大な、ある『事件』の後からである。
『彩女パンツ革命事件』である。
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