第49話 僕とパンツと後日談

 こうして、パンツを透視できる僕と、そして、天才的探偵である立花さん…いや、華憐さんとの一週間の大事件は終わったのだった。

 その後、どうなったのかなんて聞いちゃいけない。そんな非日常なことがしょっちゅう僕の身に起こるなんてたまったものじゃない。僕はできるなら平穏に、そして、可愛い女子のパンツでも眺め暮らしていたいものなのだから。

 きっと僕がこのあとに、この事件が終わったあとはみんな平和に暮らしましたとさ、なんて書けば、それを読み終えた読者はすっきりした気持ちで、本を終えられるのだろうが、書いている僕からしたら、いっそ引き際が悪くも、読者の美少女の中で生きられるのなら本望だと思うのである。

 けれど、華憐さんからは探偵というものは、最後はすべて隠さず話すのが礼儀とも教わったから、おとなしく、書こうとしようか。


 あのあと、春樹は華憐さんと仲直りして、いまでは仲良く、口が立ち、かつ心が読める者同士、お話ならぬ駆け引き合いをしている。体育中に女性用パンツを履かなくなった。

 そんな性欲ってあっさり解消できるのか。と思ったことだろうが、それはそのはずもなく、一か月に一回ぐらい、彼は僕の部屋に来て、女装を披露するのが日課となっている。

 こう書けばみんなハッピーとか思うのかもしれないが、僕は毎回男の女装を見させられた後、期待に満ちた目で、今日はどうだった、なんて聞かれて、感想を述べなきゃいけないのだから、もうさんざんである。

 彩女はというと、その後、春樹がすべて打ち明けて、謝るのをあっさり許した…わけもなく、相当怒ったのだけれど、そこは僕が二人の仲を仲裁して、和解した。

 ちなみに、その和解条件というのは、春樹が女装するときに、彩女が好きな服を着させることを許すというものであった。そのため、自然、春樹が着る服はフリフリのものが多くなって、更に僕は犠牲をこうむるのだった。

 きっと僕と彩女の関係について読者は興味がないだろうから、割愛しよう、なんていえば華憐さんがこれを読んだときに怒るだろうから、書いておこうか。

 いままで十六年女性経験のない僕がもちろん深く関係を進めることなど順調にはいかず、最近やっとデートに二人で遊園地にいけたレベルである。もちろんそこでは何も起こることもなかった。残念だったなぁ。

 さて、最後に華憐さんに関してなのだが、この人はたとえ事件があっても、なくても、常に変わらず自分を貫いているのだから、大して変わらず、僕に暴言を吐きながら、けれど、常に美しく、賢く、輝いていた。

 だが、残念ながら、そうしょっちゅう事件など起こらないのが現実。

 そして、そんな現実でも、僕は華憐さんから、仕事を受けてしまうのだった。

 いま、こうして読んでいるこの事件の報告書も、華憐さんに書かされたものである。

 なにせ、探偵部をつくるためには部員を集めなくちゃならないのだから、活動記録を作って、部員を募集しなくちゃ!なんて言い出すんだから、今日も華憐さんは元気である。

 しかし、こんな能力だの、神様だのが出てくる事件記録を読んで誰が部員となってくれるのだろうか。僕なら間違いなく、なにこのオカルト部、近寄らんでおこう、って思うが。

 それにこんなに男子の、主に僕だが、欲望垂れ流しの話など読んだら、なにここ、エロゲー部なの?なんて思われてしまうのである。原因は僕なのだが。

まぁ、最後に、書き記しておこう。

 こうやっていままで書いてきた事件に巻き込まれたことも、こうやって、そのことをここまで書いてきたことも、さっきまでは愚痴をいっていたが、僕自身、楽しくもあるのだ。

 なぜなら、そのことはすべて、華憐さんが僕を巻き込み起こしたことであって、そして


 僕は、華憐さんの相棒なのだから。

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僕とパンツと Arare @arare252

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