僕とパンツと幼馴染
第36話 僕とパンツと看病
さっきは偉そうに立花さんに探偵を語っていたが、もちろん僕は探偵でもないしどのように状況を捜査、把握して、推理するのかなんて全然わからないので、恥ずかし事に、どうすればいいのか迷ってしまった。
しかし、僕の専門の数学でも、証明することが分かってなければ、その先解くことなんてできないのだから、まずは状況を把握し、解決するべき問題を明白化することが先決であると思い、彩女の家へと向かうのだった。
幼馴染の家の前についた僕は、チャイムを鳴らすと、彩女のお母さんが迎えてくれ、プリントを届けに来たのと、すこし長くなる話がある、というと、驚いたように、手を口に当てながらもにこやかに、僕を迎え入れてくれた。
僕が彩女の部屋をノックし、名前と、用件を伝えると、喉がすこし枯れ気味な感じの、けれど彩女のすこし高めの声で、入ってきていいよ、という返事が返ってきた。
彩女の部屋は僕たちが小学生の頃にはよく入ったりしていて、そこで子供らしく、ごっこ遊びとかをやったものだったが、中学生になってからは、僕がこっそりのぞいたりするぐらいでしか…いや、僕は覗いたりしていないから、完全に五年ぶりに彩女の部屋を見たといっても過言ではなかった。
だが、感想としては残念ながら、そこまで部屋のイメージは小学生の時と変わっていなかったと言わざるを得ない。
もちろん、成長によって、それに合わせてサイズが大きくなったり、制服があったり、本が子どもの本から、学校の教科書や、参考書、雑誌が増えたりなどしていた。
けれども、パンツが最近子供柄から白に変わったといっても、そんなに一気に人の趣味趣向が変わってしまうわけもなく、小学校の時から彩女が好きだったピンクの色が基調になった部屋に、ちょっとしたところに子供っぽい柄を残している感じの部屋であった。そんな部屋に、僕はなんだか安心感を抱いてしまったのだが。
彩女は、その部屋の中で、やはりピンク色のベットの中で、顔をほんのり赤くして、身体をすこし起こす感じでいた。この顔が赤い感じを見る限り、本当に風邪をひいてしまったのだとわかった。
「大丈夫か?」
と僕が言うと、弱弱しくも、笑って、
「大丈夫とは言えないけど、おかげさまで、少し直ってきたから、明日は行けると思う。」
といってきた。
ここで書くのも恥ずかしいことなのだが、口では心配しているようなことをいいながら、目と鼻は彩女に釘づけだった。
というのも、熱と寝ていた関係で、ほんわか汗をかいていたのだろ、僕が扉をたたいた時に一応拭いたのだろうが、ほのかに香ってくる汗の香りと、お母さんに似たのであろうか、バニラの香りが漂ってきて、もうこれこそが芳香そのものだと感じた。
さらに寝ていたのだから、もちろんパジャマ姿なのであった。妹のパジャマ姿とは違い、いい具合に発育していて、胸といい、おしりといい、ボディーラインが幼いころと違って女性らしく、また風邪のために顔がほんわか赤くなっているのが、さらにグットであり、僕はいつの間にか、彩女をなめまわすようにみていた。
「なにじろじろ見てんのよ!」
頬を殴られた。僕らの業界ではご褒美であった。彩女は一気に顔を赤くして
「寝てたから、汗臭くなってると思う。だから、近づくのもダメ…」
「それがいいんじゃないですか!女の子の身体からから出るホルモンが、もうパワースポットさながらあふれ出ているよ。全身にもう浴びまくりたいよ!」
そう僕はテンションが舞い上がって言ってしまったのだが、彩女は怒るのでもなく、下を向いて、
「女の子のだから、興奮してるんだ…」
なんて言ってくるのであった。僕は、さっき立花さんが言ったことも相まって、妙に意識しながら、けれど、
「幼馴染の…だからかな。」
なんて少し踏み切れないコメントをしてしまうのだった。そうすると、彩女は、何故かさみしそうな化をしながら、そうだよね、えへへ、なんて作り笑いを浮かべてしまうのだから、気まずいのであった。
なんでここで、君のことが好きだから、とか言えなかったのだろうか。心底僕はダメなやつだ。美少女の皆さん罵倒してください。そう思った。
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