第45話 僕とパンツと親友の全て
「だが、結局高校一年の時は、なにも起こらず、暴かれることもなく、僕はその、性欲っていっていいのだろうか、そういったものを満たしながら、過ごしたんだ。
事態がさらに大きく、悪い方向に進んだのは、高校二年になってからだった。
僕は、優と立花さんが同じクラスになってしまったあたりから、何か嫌な予感を感じていたんだ。さらに優は、立花さんに関して僕に聞いてくるのだから、心底不安になったよ。
その予感は的中して、ほんの何日か後には、立花さんが、優に手紙を渡してきた。僕は気が気じゃなくて、手紙をこっそり読んだんだ。そこにはあなたのことは全部わかった。ばらされたくなかったら、捜査に協力しなさい。なんて書いてあったよ。ここで全部わかったよ。悪い予感が当たったって。つまり、二人で僕の捜査をしようとしているって。
僕は、その手紙を優が受け取った日、話を聞こうと屋上に向かおうとしたんだけれど、たまたま掃除当番が重なってしまい、腹痛を訴えて、こっそり抜け出し、向かったのはよかったんだが、遅かったね。扉の前には優がいて開けられる状況じゃなかったし、かすかに聞こえた内容も手紙でわかる程度のことだったから。
その後、僕は、二人の捜査が終わるまで、女性用下着を身に着けて体育するのは控えようって考えたのだけれど、君も男ならわかるだろう?性欲ってのは抑えようとしても抑えきれるものじゃないんだ。
だから、僕は策を考えた。君たち二人が捜査をやめてくれる策をね。
優はこの話を聞いたら怒るかもしれないけど、僕は東條さんに対して、嘘をついたんだ。え、もうその話は既に知っている?予想外に東條さんは口が軽かったのかな?あ、そうか、君が聞き出したんだね。そうか、それは予想外だったな。
なんでそんなことをしたかって?それは、僕は、東條さんに匿名希望の手紙を出して、そして話したのだけれど、そうすることで、東條さんはまず、優には話さないで、立花さんにことの真偽を尋ねると思ったんだ。そうすると、立花さんはもちろん否定をするよね?
そこで、立花さんは、僕に捜査がばれていると知り、続けるか迷う。
さらに、東條さんは、結局ほんとに告白したのかどうか、二つの情報でジレンマになったあと、何日か悩み、最後は優に話すと思った。
最後に、優はその話を聞いて、捜査協力をやめると言い出す。
そう僕は考えたんだ。」
「けれど、まさかあんな大喧嘩したあとでも捜査が終わっていなかったなんて、流石立花さんだよ。そこまで考えて行動していたなんて。」
そういったあと、少し心配そうに、
「引いちゃったかな?」
なんて聞いてくるから、つい、全然そんなことないよって答えようとしてしまったが、そうだ、春樹は心が読めてしまうんだと思い直し、正直に、
「少し引いてしまったよ。けれど、そんなことはたいしたことじゃないさ。」
と答えた。この返事に少し疑問を覚えたのか、首をかしげる春樹に、僕は
「親友なんだから、性癖ぐらい受け止めてやるさ!お前だって、僕がパンツ好きだって話を聞いたときも、笑って受け止めてくれただろ!」
そう答えた。そうすると、嬉しそうに、春樹は、
「じゃあ、今度、僕の女装を、見て欲しいな。」
なんて顔を赤くして笑うのだった。正直、苦笑いしてしまったが、それで春樹が自分を表現できるというなら、その日ぐらいは一緒に女装して楽しむぐらいはありなのかな、なんて思うのだった。
そして、春樹は一通り笑うと言った。
「僕の話はこれで終わりだよ。けれど、まだ君には疑問があるし、話さなきゃならないこともあるんだろ?こころを読まなくてもわかるよ。それぐらいは。
けれど、それらのことはきっと立花さんに聞く方がいいと思うよ。ねぇ、立花さんもそう思うでしょ?」
「そろそろ姿を表したらどうですか?」
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