第14話 僕とパンツとトイレ

 それから、なんだかんだ色々な話をして、そしてさりげなく二つ目の本題、『そのこと』に関して探りを入れるのであった。

「そういえばさぁ、春樹。なんで体育の前と後に必ずトイレにいくんだ?」

 『そのこと』とはまさにそのことであった。

 立花さんが知りたいといっていたこととは、春樹のおトイレ事情なのである。紐パンをはいた女の子のスカートをめくった僕が言うのもなんなのだが、名探偵といっても男の子がいつの時間にトイレに行くかを把握していて、かつ、何故その時間にトイレに行くかを調べようとするなんてよほどの変態である。それも僕と違って変態で天才なんて世界からしたらもっともたちが悪いのではないのだろうか。

 春樹はえ?と感じで首を傾げていった。

「えっと、そんな特別なことじゃないと思うんだけど、普通に体育の前にトイレ行く人結構いると思うよ。なにかある前にトイレに行くっておかしくないと思うし、なんか昼休み後とか、寝る前とか別にトイレ行きたくなくてもなんとなく前だからって理由でいかない?」

「けど、おまえ、体育終わったあともトイレ行くだろ?あれはなんでなんだよ。」

そう聞くと、春樹はすこし顔を赤らめながら答えた。

「ええと…恥ずかしい話なのだけれども、僕は汗っかきだから、その…みんなの前で拭けないところとかさ…あるんだよね…」

 顔がどんどん真っ赤になっていく春樹。これは、すごいかわいいとかっこいいの融合である。萌えかっこいいのである。

「みんなの前で拭けないところってどこよ。」

 春樹の前ではすこしSになってしまうらしい。というか、多くの人は誰と対応するかによって、SMは変わってくるのではないだろうか。例えば年上の前ではMだけど、年下の前ではSとか。僕はあらゆる女性に対して自分を押し付けるのではなく、あらゆる女性に合わせて、包み込めるような男になりたいのである。故に、僕はSかMであることを公言するなんてことはしないのである。

「男性器…かな?」

 あぁ、僕が言って欲しかったのはち◯こであったのに、ちん◯であったのに!いってほしい。いってください春樹様。

「な、なんで物欲しそうな目で見ているのかなぁ…」

 完全に僕は新たな世界への性壁を超えてどちらもいける変態になったのであった。万里の長城越えである。


 というものの、確かにその通りである。体育の前も後もトイレにいく正当な理由があるし、これが本当の理由であるように思える。というか、明らかにこれが理由で間違えないだろう。

 だいたい普通の日常の中で、トイレに行くのに特別な理由なんてないものである。トイレに行く理由など、男なら、普通に用を済ませるか、さっき言っていたみんなの前では弄れない例のあのものに関してである。これ以上は僕の口から言えない。大人になれば言えないこともあるのさ。

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