僕とパンツと策略と

第21話 僕とパンツと妹論

 世界が変わる時ってのは、確実に裏から始まるものである。

 たとえば、フランス革命。

 これは、確かに民衆が王政に反逆したというのがそのことの次第であるのだが、しかし、これは多くの啓蒙思想家が民衆に対して教えを諭し、そして民衆が立ち上がるという選択を、意志を知ったことから起こりえた出来事なのである。

 では、何故いまそのこと自体が表、すなわち正しいこととして認識されているかというと、それは王政政治ではなく、民主主義が今の正義となっているからなのである。その時代からすれば、王政が正義であり、まさしく今まで述べてきた変化というのは確実に裏で行われたことであるのだ。

 何故今までの流れから逸脱したように真面目にこんなことを述べているかというと、それは今回の出来事に関して裏で策略を行ったのは、僕の親友の春樹であり、そしてこう事後に語っているということは春樹はこういういい方が正しいかわからないが、『敗北』したのである。そう、立花さんの頭脳の前に。

 そして、僕はこう書いているということはあらゆる戦記同様に『勝者』の代表としてこのことの次第を書いているし、実際に春樹から受けた被害を記すことになるであろうし、これは批判的になってしまうかもやしれない。

 けれども、それは決して春樹が悪なのではない。彼には彼なりの事情があったのである。だから、これから語ることに関して、春樹を許してやってほしい、と思うのである。今でも春樹の親友であり続ける僕からの気持ちである。


 では語っていこう。この春樹の策略と、そしてその歯車から動き出したこの出来事の真相を。もちろんネタと雑談とツッコミ満載で。まじめに語るなんてキャラじゃないのでね。


「起きてよ!お兄ちゃん!」

 こうやって文字に起こせば、学校に向かう余裕がある時間に妹が起こしにきて、それで、そのあと二度寝した僕を、もう仕方ないんだから、とか言って起こしてくれる優しい妹を想像するかもやしてない。もしかしたらそこでいちゃいちゃした感じの出来事も起こるかもしれないと考えるかもしれない。

 しかし、現実というのはそんなに甘いものではないのである。というか二度寝するだけの時間の余裕をもって起こしてもらえるライトノベルやアニメのお兄ちゃんってのはその時点で愛されているのである。幸せすぎるのである。

 僕の妹は、二度寝などしたら遅刻確定という時間で起こしてくるのであった。これはどう起こされても起きるしかないのだ。もちろんいちゃラブなんて起こり得るはずもないのであった。

 現実の妹というのはこういうものである。かくいう私も、二次元においては大の妹好きである。多くの作品で妹をヒロインとしている作品があるが、それらを網羅しているのは勿論のこと、他の作品では親族故に脇役扱いされがちな妹たちを全力で応援するぐらいに妹好きである。

 けれど、二次元の妹と、三次元の妹とは質が違うのだ。そもそもとして、現実において、外で友達関係とか、上下関係とかでいいようにふるまおうと一生懸命に生きているものなのだから、家に帰って、家族に見せる顔というのは素の自分というものから考えても、悪態をついたり、だらしなくなってしまったりしてしまうものなのである。

 もし現実に、妹が家の中でもすごいかわいくて、いいやつで、主人公のお兄ちゃんも惚れてしまうような感じであったとするならば、それはもう自分の部屋はたいそうめちゃくちゃなことだろうし、もしかしたら、妹のSNSは大変なことになっているかもやしれないと不安になってしまうわけである。

 そう考えれば、外と内でほとんど態度が変わらず、素に近い我が妹はそれはそれで評価できるのではないかと思うのである。何故こんなに僕が妹を擁護しようとしているのか、というとこの出番で、この作品において妹が登場するのが最後であるからである。一番作品内で出番が少ないんじゃないかと思うぐらいである。

 だから、最後にうちの妹もごくたまのたまに可愛い反応もするということを示してあげようと思うのである。

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