第41話 僕とパンツと大作戦
話は少し戻って、放課後立花さんと僕が話した、火曜日の放課後に戻る。
「私の依頼の指示に一つだけ追加させていただいてもいいわよね?」
そういった立花さんに、嫌な予感がした僕は、
「いやいや、それはダメだ。僕を安く見ないでほしいものだね。もう一つ仕事を請け負うっていうのなら、それ相応の対価ってものが必要だろうよ。」
そういうと、ジト目の立花さんが、
「だから、あなたが先に契約破ってきたんじゃないの。一回言ったことなんだからしっかり覚えておきなさいよ。こっちはあなたとしゃべっているだけで人生の無駄だっていうのに。」
冷たい奴だ。交渉の余地もない。それならいいわよね、なんて聞いてくるんじゃない。命令すればいいものを。
「ズバリ言うと、私が契約を切ったと公言したあとの一回目の体育の時、しっかりと、トイレ前とトイレ後の春樹君のパンツを透視してもらいたいってことよ。」
僕はそう聞いたとき、なんでそんなことする必要があるのかわからなかった。きっとそんな顔をしていたのだろう。死にかけた虫を見ているかのような憐れみの目で立花さんは僕をみて、
「頭がないということが流石にかわいそうになってきたわ。」
なんて言ってくるのであった。
「つまりね、あなたが春樹君に話したってことは、もちろん春樹君は私たちのことを警戒してきっと証拠を出さないだろうけれど、私たちが捜査をやめたってことを知ったら、きっと証拠を出してくるはずよ。」
「けれど、僕たちが捜査をやめたってどうやってわかるんですか。直接言うわけにもいかないですし、一緒にトイレに行かなければ、確かめることだって…」
そういうと、今度は自慢げに高笑いしたあと、
「まったく、あなたは初歩の初歩から話してあげないとわからないみたいね。そのことは私たちが伝える必要もなく、春樹君が拾いに来てくれるわ。
この屋上、昔はスクールアイドルの活動に使われていたらしくて、その音が響かないように、扉はある程度防音されていて、学校内部の部活動に影響が出ないようにしているのよ。
だから、ここの扉を閉めてしまえば、話はほとんど聞こえないのだけれど、昨日、私たちが初めて屋上で話した日、彼は少し遅れてこの屋上の扉前に来ているわ。
そのとき、私はあなたがおそらく止めても春樹君に話してしまうだろうと推理していたから、今日来るように決めておいたけど、今回春樹君が来てないということが、このぐらいの声だと、扉越しだと聞こえないという証拠ね。さらに、春樹君は防御のために見に来たのでしょうが、私からしたら重大な秘密を抱えていることと、そして慎重な性格だってことを教えてしまっているようなもの。
つまり、私とあなたが話すであろうとしれば、必ずそこに春樹君も現れるってこと、そして、それほど重要なことってことは、つまりなくてはならない秘密ってこと。捜査がなくなったとしれば必ず行動に出るはずよ。」
そして、最後に、自慢げに語り、テンションが上がったのか、防音の壁越しでも十分聞こえるような大声で、
「もしはずれでもしたら、あなたの指定したパンツをはいて、パンツ一丁で、校庭三周してあげるわ!」
というのだった。
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