僕とパンツと秘密
第40話 僕とパンツと作戦決行日
土曜日になった。
ゆとり教育で土曜がなくなっていまの世代は楽になった。甘えているというかもしれないが、僕たちの通っている学校はいわゆる進学校と呼ばれる学校で、土曜日もしっかりと学校があるのだ。
僕と彩女の場合は単純に歩いて通える範囲の学校であるということで学校を選んで、合格しているので、電車を使わずに通えるのであるが、立花さんの場合は電車通学をしている。
まぁ、とにかく、世間ではゆとり世代じゃない大人たちは家で休んでいるが、僕らは学校に向かった。
あいにくその日は雨が降っていて、さらに学校に行きたくなくなってくるのだった。
今日は、ちゃんと体調が治ったらしい彩女が、待ち合わせ五分後になって、もう、遅いよ、五分も遅刻してるよ!なんてインターホン越しに言ってきて、仕方なく家を出た。
家を出ると、いつも通り、門の前で彩女が怒っているのかと思いきや、僕の顔を見るなり真っ赤になって目を逸らしてきた。
僕も昨日のことを思い出して、真っ赤になって目を逸らすのだった。
「風邪は治ったのか。」
そうぎこちなく聞くと、
「おかげさまで治ったよ。お見舞いありがとう。」
そう返したものの、彩女は、お見舞いのときのことを思い出したのか、さらに顔を真っ赤にさせて下を向いてしまった。
そういう僕たちをみて、妹は首をかしげるのだった。
学校につくと、僕はいつもの日課通り、自分の席に着き、そして今日必要な教科書と、その日は三時間面に体育があるので、体操着をロッカーからもってきて、再び席に着き、クラスの生徒が今どんな感じにいるのかをパッと見るのだった。
その日は、立花さんはいつも通りの時間に完璧にセットした状態で座っていた。
だけれど、いつもと違い、決して彩女の方を見ようとせず、黒板を見つめていた。
毎朝、パンツを透視するという不純な理由だったとは言い、この新学期から一週間二人の会話する姿をほほえましく、いやらしくみていた僕からすると、その光景はすごく心が痛むものだった。
それとは対照的に、僕の推測では彩女に手紙を渡したであろう春樹は、いつもと同じく、僕の隣の席で人のよさそうな笑みを浮かべているのだった。
何故、春樹が手紙を出したと予想するのかは、語るまでもなく読者もわかるだろう。
そもそも、僕が告白されたことで返事を困らせて相談する相手なのだから、僕のある程度親しい男でなければ、彩女も話を信じたりはしないだろうし、また、昼休み、春樹は実際教室にいなかったのだから、もう疑いようがないだろう。
その時僕は、彩女と同じく直接親友に話を聞きたいという気持ちは山々だったのだが、頑張って踏みとどまった。
僕が、立花さんとの探偵契約を守るために。
そう、名探偵、立花華憐の調査計画の肝は、この契約が解除された次の体育がある日にあるのだから。
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