第26話 僕とパンツと恥じらい

「そ、それより、まだ私が怒っている理由があるのだけど…」

 まだあるのか…というかそんなに一日ぐらいで人を怒らす理由を二つ以上作ってしまうほど僕も悪い子としていないと思うのだが。そう考えながら、結局わからないでいると、さっきと同じように、彩女はため息をつきながら、

「華憐ちゃんから手紙もらってたでしょ。あれはどういう意味なのよ!」

 といった。

 しかし、改めてこうやって文章に興してみると、その時はそんなに思わなかったのだが、結構失礼な発言だと思えてくるのである。普通に女子からお手紙をもらっただけなのに、何故そんなに疑問に思われ、そしてされには怒られなければならなかったのだろうか。

 確かに僕はいままで、生まれてこの方一度も女子から手紙をもらったことはないのだが、もちろん下駄箱に入っていて実は僕だけが知っているなんてイベントも一度もなかったのだが、僕だって高校一年生、そういった花のあるイベントの一つや二つあったって不思議ではないだろう。

 ここは百歩譲って、驚きの目線で見られても仕方ないかもやしれないが、何故その驚きを通り越して怒られなきゃいけないのだ。何故理由を聞かれなければならないのか。そりゃこの時期の手紙といえば告白しかなだろう!それとも彩女は一度も告白されたことがなくて悔やんでいたとでもいうのか?

 まぁ、実際、その手紙は告白ではなかったのだし、それにこれはもう済んだ話だから、一人机の前でイライラしていても話は進まないから、先に進もうと思うのだが僕は隠していても仕方ないので、適当に重要な部分は隠しつつ、有ったことを話した。

「ただ、ある僕の友人に関して一緒に調査しよう、って誘われただけだよ。たいした話でもないし、立花さんもすこし困っていたみたいだから協力してあげようかな、という感じってだけだよ。立花さんって、学校でも知られているぐらいの名探偵だろ?」

 立花さんを話の流れながら褒めてしまった。最悪であった。それを聞いて彩女は、驚き、不思議がって首をかしげながら言った。これこそ、日本の萌えの姿であった。

「華憐ちゃんは一人探偵として有名で、常に一人で事件を解決することで有名なのだけど、今回は優くんに協力してほしいっていってきたんだ…そんなこといままでなかったのに。私も一回も捜査に関して話を聞かせてもらったことないのに…」

 そういいながら、僕のほうをあやしそうに見るのであった。どっちかっていうと、僕が嘘をついているのではないか、といった目線で。だから、仕方なく、立花さんは話したことがないのだろうが、僕は捜査に関しての話を彩女にしてあげた。

「あの名探偵も今回は一人では息詰まったのさ。なんせ今回は男の子の秘密に関してなのだから、女の子の立花さんには限界があったんじゃないかな。」

「男の子の秘密ってどういうことよ。何に関してなの?」

 ここは、思ったことは隠さず言い、かつ好奇心も旺盛な彩女だ。もちろんこう聞いてくるだろうと思っていたが、如何せん、これは話しにくい。だって彩女は女の子なのだから。

「つまり、それは女の子には、話しにくいことっていうか…」

 僕は濁そうとするが、子供柄のものをいまだ使い続ける彩女である。そういうことには鈍く、

「それは、もちろん探偵さんなのだから人の秘密を操作するのだろうけど。」

 なんていうのである。まぁ、これほど鈍感だからこそ、変態の僕と十六年間仲良くしてくれたのだろうが。そう思いながら仕方なく、僕は重い口を開き、言った。

「つまり、男の子のトイレ事情ってやつなんだよ…」

「え…それって…」

 そこで鈍い彩女も悟ったのだろう。顔を赤らめて、口ごもってしまった。

あぁ、女の子というのはこれぐらいの恥じらいが必要なのである。エロ用語を言ってしまう前に口ごもってしまうぐらいのおしとやかさが必要なのである。例の探偵さんにも見習ってほしいものである。言ってから恥らっても駄目であるということを切に伝えたいのであった。

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