第11話 僕とパンツと探偵料

「誰に恋をしたっていうんだ。」

「馬鹿ね。変態なだけじゃなくて馬鹿でもあったのね。もうほんと救いようがないわね。探偵ってというのは、調査結果を売って暮らしていくのだもの。タダでは教えられないわ。」

「いやいや、さっきの話の流れなら誰だってそう聞き出すものだろう。なんなの、だいたい僕が立花さんに何をしたっていうのだ。毎朝、少し目の保養のためにパンツを覗いていただけじゃないか。男子高校生ならだれでもやっていることだ。僕だけ責められるのは筋違いだ。そもそも、女子高校生がスカートをはいていれば、見たくなるのが生物ってもの。僕は立派な生物だ。生物以下って部分を訂正していただきたいね。」

「生物以下とは、生物も含んでいるのよ。たとえばあなたの成績は2以下よっていったら2も含んでいるでしょ?ということは訂正せずとも、生物も含んでいるの。なに、数学もできないのかしら。やっぱり馬鹿じゃないの。訂正なんてするところなんてないじゃないの。」

「…」

 もう心が壊れそうだよ。誰か助けてぇ…

「さぁ、単刀直入に言うけれど、私はいま、君の友人であり、クラスのイケメン、春樹君の謎を探っているのだけれど、私は彩女が誰に恋しているかをあなたに教える代わりに、あなたは、その能力と関係で、春樹君の秘密を探ってはくれないかしらってことなのだけれど。」

「なんで立花さんが春樹の秘密を調べているのか、人に頼みごとをするなら、理由ぐらい述べるべきだろ。」

「理由なんて…そんなこと聞かないでよ。恥ずかしいじゃないの。」

 そういいながら立花さんは顔を赤らめる。確かにかわいいのだが、僕はこういう要求は何回か女の子からされたことがあってうんざりしていたのだった。まぁ、ありきたりで、いわゆる

「春樹のことが好きだってことか。」

「は?あなたたちみたいな下等生物と同じ目線で私を観察して物事に結論を付けるのはやめて頂けないかしら。

ただ私は、人の秘密を握ることで、後々の交渉の時に上から物を言えるっていう環境が好きだから、人の秘密を握っておきたいってことよ。いうなら、あなたの首はいつでも絞められるわよ、という感じの優越感を得られるじゃないの。実際、いまあなたは私に弱みを握られて、完全に交渉負けしているじゃないの。」

 本当に性格は最悪な奴である。こんなひどい奴は相当出会えないぐらいだ。だいたい理由を聞くなと最初に行ったのは立花さんのほうなのに…

 しかし、理由を聞いたところで、僕の気持ちは何も変わることがなかった。確かにいままでの話の中で、僕は変態で、パンツ好きで、立花さんから言わせれば、馬鹿でもあるのだろうが、しかし、それでも友人を売って利益を得ようなんてそんなことはしない男である。当たり前である。

「申し訳ないが、この交渉は決裂だ。友達を売るなんて、できないさ。」

 立花さんはすこし残念そうな顔をしながら、

「あーあ、残念だなぁ。交渉成立していたら、いまここでスカートめくってあげようって思っていたのだけれど…」

 すぐに交渉は成立した。友情なんて、性欲の前では髪のように薄いのだよ。いや、僕の髪はまだそんなに薄くないんだけど。

 え?立花さんの生パンツの感想だって?

 こんな対価を支払ってみたものの感想を簡単に言えっていうのか。読者諸君はなんて残酷なことをいうのだ。そんなにパンツってのは安いものじゃないのだ。この僕がみた人間の神秘は、僕の心の中に大切にとっておこうと思う。

 ただ一言いうなら

 

 エロかった。すげぇエロかった…

 

 以上です。

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