第7話 更に奥へ

俺は新しいスキルを得て、次の階層に進んだ。


もしここで出現する魔物が強ければ元の安らぎの間に戻ろう。


まずはレベルアップしたスキル武術言語と剣術のスキルの威力を見てみたい。


5分も経たない内に魔物と接敵した。


すぐさま剣を抜き、戦い始める。


「我が剣は無限なり!」


俺が武術言語を叫ぶとかなり長い間身体強化、敏捷が上がる。


それに加えて剣術のスキルのおかげだろうか?


剣を自在に扱える。


あまり力が必要と感じない。


昨日まで無駄な力を使い過ぎていたのだろう。


しかし。


ザシュ


魔物はグレートベアだった。


何とか倒したものの辛勝だった。


硬い体毛に筋肉隆々の力の強い魔物だ。


剣術や武術言語のスキルレベルを上げてもギリギリの戦いを余儀なくされる。


「ここは一旦安らぎの間に戻るか」


俺はそう判断した。


さっきの階層でレベリングして武術言語のレベルを上げてから挑もう。


そう思った。


だが、それは俺の軽率な判断だったことに後さら気づく。


「な、無い! 安らぎの間への入り口が!」


ついさっき出て来たばかりの安らぎの間への入り口は消えていた。


俺はこのレベルのまま戦わなければならないことを悟った。


☆☆☆


ザシュ!


俺は一匹のグレートベアを屠ったものの更にもう一匹のグレートベアと対峙していた。


2匹同時に相手にしたせいでギリギリどころか限界一杯だ。


ようやく一匹を屠ったが、何匹かのグレートベアと戦ったおかげだった。


グレートベアは力が強いだけでなく敏捷さも兼ね備えている。


見た目が熊なので、つい力だけと思い込んだらかなりのスピードだ。


だが弱点はあった。


グレートベアは真っ直ぐの方向には滅法強いが、横へは遅い。


これだけ敏捷なのに横への変化に弱い。


どうもその巨体から突進すると横へは動けないようだ。


ただし、突進していない場合、横へも敏捷に反応するから要注意だ。


俺は突進したところを横へサイドステップして一匹目のグレートベアに止めを刺した。


そのスピードからタイミングを誤るとグレートベアはそこで止まり、殺られる。


グレートベアが突進して来る。


よし!


俺はジャストタイミングでサイドステップでグレートベアを避けた。


後は止めを刺すだけ。


そう思った。


だが。


「え?」


思わず素っ頓狂な声が出てしまう。


グレートベアもストップしていた。


学習は人間だけのものじゃない。


グレートベアは先程までの戦いで学習したのだろう。


突進と見せかけて止まっていた。


そしてその凶暴な腕の爪が俺を襲う。


慌てて避けるが。


「くっ!?」


脇腹をやられたらしい。


激痛が走る、だがこれ位で根を上げる訳にはいかない。


それに幸いこの隙にヤツに向かって剣戟を入れた。


グァ!


運がいい事に俺の剣がグレートベアの右目に当たった。


結局肉を切らして骨を断つになってしまった。


だが、ヤツは右目が見えない。


俺はヤツの右へ右へと周り、上手く立ち回った。


そして最後の突進の時、ヤツの右にサイドステップすると、ヤツは見えてもいないのに止まって俺にその鍵爪を振り下ろす。


狙えていないので空をきる。


その隙を逃さす弱点の脳天に剣の突きを打ち込む。


こうして何とか1対2の勝負に勝てた。


俺は慌ててポーションを飲んだ。


何匹目かのグレートベアが落とした。


階層主用に温存したかったが、そうもいかない。


だが俺はここで気がついた。


そろそろスキルポイントが貯まってるんじゃないか?


俺はステータスボードのスキルポイントをチェックした。


【スキル】


武術言語Lv2 レベルアップに必要なポイント750


剣術Lv3 レベルアップに必要なポイント200


所持スキルポイント 800


やった。


俺はレベルを上げやすい剣術ではなく、武術言語のレベルを上げたくてスキルポイントを温存した。


これでようやく武術言語のレベルが3にできる。


体感だが剣術のレベルより武術言語の身体能力の向上の方が恩恵が大きいように思える。


対人戦とかだとどうかわからないが、グレードベアと対峙してパワー不足、速度不足を体感した。


それで、武術言語をレベル3に上げた。


『スキルポイント750を武術言語へ、レベルが3に上がります。新しい武術言語を取得しました』


俺は更に奥へと進んだ。

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