第77話 ルナが聖剣を抜いちゃった。

俺が聖剣を抜くと盛大な歓声が上がった。


どうしよう?


聖剣がなんかおもちゃっぽいのは言わない方がいいよな?


「皆さん。聖剣を抜いた勇者として誓おう。俺はこの教団の守護者となり、この世界の守護者たらんことを!」


「「「「おおおおおおおおッ!!」」」」


聖剣が模造品というか、これ絶対おもちゃだろ?


でも、俺は__空気が読める__から。


俺は英雄というか勇者と祭り上げられた。


☆☆☆


「勝手に勇者にしないでよ、リナちゃん?」


「だって、お兄ちゃん、頼んだらことわゆ」


「__それはそうだけど」


「それに教団の守護者になってくれてありがとうなゆ」


「それは俺も空気を読んでね。ああでも言わんと場の空気に負けそうに__」


「お願いはしてないゆ♡」


なんか、俺、この7歳位の女の子にたぶらかされてない?


「お兄ちゃん。教団のために戦ってほしいゆ__死ぬまで」


死ぬまでなの?


何か可愛い顔して要求がベリーハードなんだけど?


「ノア君、自分の言葉に責任持とうね。自分で勝手に言ったんだし、ちゃんと教団の守護者になるんだよ」


「は、はい」


アリスに言われて仕方なく頷く。


しかし、俺は一つ気になることがあった。


「あの、リナちゃん? 本物の聖剣はどこにあるの? 俺達、本物の聖剣を見たくてこの聖剣教に来たんだ」


「それなら倉庫の隅に置いてあるゆ」


「え?」


倉庫なの? 聖剣なのに?


「驚かれるかもしれませんが、聖剣はこの教会の地下の倉庫にありまして__その、大昔から大きな岩に刺さっていたらしく、この教会を建てた際に倉庫の中にとなってしまったんです」


「そういうことですか」


なる程、聖剣は巨石に刺さっていて動かせないからそうなったのか、なら。


「セオさん。お願いがあるのですが?」


「何でしょう? 勇者様の願いとあれば何なりと」


「本物の聖剣を見せて頂けませんでしょうか? あと、できれば本物が抜けるかどうか試してみたいのですが?」


「もちろん勇者様の願いなら。しかし、勇者様とはいえ、簡単には抜けませんよ。何しろ1000年間、勇者の才能を持った者にすら抜けなかったのですから」


本物の勇者の才能を持っていても抜けないって、どんな魔法を施したんだいつきは?


☆☆☆


「我が剣は無限なり。我が剣は輝く閃光、我が剣に勝るものなし!」


俺は6回目の武術言語を唱えていた。


「ち、畜生ぉ!!」


「ノア君、早めに諦めようよ。絶対抜けないと思うよ」


「そうなのです。勇者の才能を持つシエナにも抜けなかったんですから」


「で、でもなぁ〜」


諦めたくないだろ? 本物の聖剣だぞ?


「勇者様。聖剣は抜ける人には簡単に抜けると伝承にあります。決して力で抜く類のものではございません」


う〜。


俺は未練たらたら諦めることにした、その時。


「あの、僕も試してみていいですか?」


これまでぼおっと俺達を見ていたルナだった。


「いいですか? セオさん?」


「もちろんですとも」


「やったー! 僕、一度聖剣に触ってみたかったんです!」


そう言うと、ルナは聖剣に手をやり。


「あれ?」


そう言うと……。


聖剣をあっさりと、簡単に、いともたやすく抜いてしまった。


「う、嘘ぉ~!」


「ルナちゃん、よかったね。ノア君に剣技を教えてもらうんだよ」


「ルナさん羨ましいのです。勇者であるわたくしが抜きたかったのです」


俺は思わず、両手で床にorzになった。


「なんか聖剣から凄い力を感じる。僕の勘違いかな?」


「いや、おそらく聖剣がルナに力を貸してくれているんだ。ステータス見てみて?」


「は、はい。ご主人様」


ルナはステータスボードを出した。


【名前】ルナ


【能力】ハズレスキル


【レベル】50


【HP】289(聖剣補正 ^2)=83521


【MP】121 (聖剣補正 ^2)=14641


【腕力】188 (聖剣補正 ^2)=35344


【魔力】151 (聖剣補正 ^2)=22801


【防御】130 (聖剣補正 ^2)=16900


【敏捷】92 (聖剣補正 ^2)=8464


【器用】59 (聖剣補正 ^2)=3481


【スキル】


風魔法Lv10


剣術Lv1


【所持スキルポイント】2000


何これ~

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