第28話 オリハルコンゴーレム
俺とアリスは階層主にアタックした。
赤い扉を開ける。
例によって。「まっ!」と謎の叫びを発するとゴーレムは鎮座していた祭壇から立ち上がり俺達の方に向かって来た。
「あれ、アダマンタイトゴーレムか?」
「多分違うよノア君。オリハルコンゴーレムだと思う」
オリハルコン?
それ架空の物質違うの?
信じられないことに女神の書、聖伝に記載があるだけで実在が確認されていない最強強度を誇るアダマンタイトを上回るオリハルコンで出来たゴーレム。
コアもアダマンタイトゴーレムより更に硬いことは間違いない。
「ノア君、薔薇の結界を試してみる。カンストまで行ったから効果あるかも!」
「頼むよ。アリス。足を止められたら俺の剣術の技能で一気に削るよ!」
「ノア君、今回だけは見逃してね」
そう言うとアリスはナイフで自分の首を落とした。
強敵相手に血が足りないのだろう。
いい加減慣れても良さそうだけど、無理。
可愛い女の子の首がころりと落ちる様はどうしても慣れない。
しかし、オリハルコンゴーレムに勝つには仕方ないか。
今回だけは目を瞑る。
ゴーレムをアリスの血術式の薔薇の結界が包む。
蔦がゴーレムをがんじがらめにする。
だが。
「まっ!」
なんとゴーレムは最高レベルのアリスの血術式をすら振り払った。
「ごめん。ノア君、こいつ力強過ぎる!」
「ドンマイ、アリス! 次は氷の魔法を頼む!」
「うん分かった」
アリスが氷の魔法でゴーレムのコアの温度を一気に下がる。
そして今度は俺が火の巫術で温度を上げる!
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
激しい炎がゴーレムを襲う。
アリスの魔法も俺の巫術も以前とは段違いの威力だ。
そして!
「修羅の剣!」
俺の剣術の技能が殺烈する。
技能の威力も格段向上している筈。
だけど。
「ダメだ。ヒビ一つ入らない!」
「ノア君、諦めちゃダメだよ。トライアンドエラーだよ!」
「分かった。もっとやってみる」
俺は何度も何度も修羅の剣を振るった。
もちろん氷の魔法と火の巫術も何度もやってコアを脆くした。
だが。
びくともしない。
これ無理ゲー?
何かないか?
オリハルコンの弱点?
架空の材質で実在を確認された材質じゃない。
記載があるのは女神の書、聖伝にのみ。
俺は記憶を探った。
聖伝の中の記述。
確か太古の勇者が使っていた剣、それがオリハルコン製。
それが折れた筈だ。
なんでだった?
俺はなんとか思い出そうとした。
その時。
「ノア君、雷撃よ! 聖伝の勇者のオリハルコンの剣は邪神の雷撃で折られたの!」
そうだ。
オリハルコンの弱点は雷。
高電圧の電気に弱い。
「ありがとう、アリス、雷の巫術を使ってみる!」
俺は雷の巫術を使った。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は雷撃、天空の閃光、汝の敵を滅する一閃なり』
激しい雷撃がオリハルコンゴーレムを襲う。
「ノア君、コアが!」
「ああ、任せてくれ。修羅の剣!」
俺の雷撃でなんとあれ程頑丈だったオリハルコンのコアにヒビが入って。
それに追い討ちで剣戟の技能で止めを刺す。
ペキン
硬い金属が割れる音が聞こえた。
そしてコアを破壊されたゴーレムは目の赤い光が消えて、その場に座り込み、ゆっくりと姿を消して行った。
ゴーレムが消えた後には巨大な魔石とたくさんのアイテムがドロップした。
こうしてゴーレムの階層は踏破した。
残るはドラゴンの階層のみ。
だが、もう俺はカンストしている。
ギリギリの戦いだった。俺はこれで本当にやれるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます