第66話 聖女に出会う
「流石ご主人様! 乱暴者なんて一発ですね! 僕、尊敬しちゃいます!」
「でも、ノア君、暴力は良くないよ」
いや、アリスが火に油を注がなければ穏便に済ますこともできたからな!
「いや、次回はわたくしに任せて下さい。たちどころに処分するのです」
「シエナは殺しちゃうつもりだろ? 殺人はダメダヨネ? 学校で教わったよな?」
ちょうど俺が乱暴な冒険者を殴ったところでシエナもギルドに到着した。
シエナは勇者だけど、現代の勇者は魔王と意中の人……。つまり俺を巡って争いを続けている。
いや、子供の頃の思い出は懐かしいだけど、ほんと残念に育ってしまったから出来れば逃げたい。でも、この子、俺が見てないとマジで殺人しそうで怖いから敢えて一緒に行動してる。
受付嬢のクロエちゃんは……。
い、言えない。
また誘惑されるのちょっと期待してるとか汗;
「ご主人様! 街の地図をもらって来ました!」
ルナが尻尾をフリフリと可愛く振りながら俺の元に駆け寄る。
「よし、よし、ありがとう。これからも頼むな」
「はい! ルナはノア様のモノですから当然です!」
ルナは頭を撫でてやるととても喜ぶ。
頭撫でるとめちゃめちゃ嬉しそうにして尻尾を可愛くふりふりする。
犬みたいに。
でも、こいつ猫だよな?
最近本当にペットみたいになりつつあるルナに俺も親近感を覚えた。
でも、この子はとても可愛くていい子だからもう少し自分に自信を持って欲しい。
そして地図を手に聖剣教の教会がある場所を目指す。
「あれ? 道を間違えたかな?」
「そうだね。ちょっとこの辺怖いね。ノア君」
アリスが怖がって俺の袖を摘んで身を擦り寄せてくる。
このあざと可愛いの大好きです!
「ご、ご主人さま〜」
見るとルナはマジ泣き目だ。
無理もない。
俺達は間違って路地裏迷い込んでしまった。
そしてあからさに治安が悪いことを証明する人々。
「大丈夫だよ、ルナ。ルナのことは俺が絶対守るから」
そう言ってルナの頭を撫でてあげる。
「ご主人様! ぼ、僕もういっちゃいそうです!」
は?
ルナは何言ってんだ?
しかしルナは俺が頭を軽く撫でると嬉しそうな顔で尻尾をフリフリ。
フツメンの俺がこん可愛い子にイケメンみたいな扱いを!
夢でも覚めないで! 永遠に!
「ノア様、この社会不適合や落伍者は早々に処分するのでー!!!!」
俺は慌てシエナの口を塞いだ。
いや、いくらなんでも酷いいいようだ。
ほんとこの子は常識がぶっ飛んでる。
ていうか、処分って殺しちゃうつもり?
それ、唯の無差別大量殺人にしかならないから!
「シエナ、君はどうしてそんなこと言うの? この人達も同じ人間だよ」
「ノア様、わたくしはただノア様邪魔になる者は早々にー!!!!」
再びシエナの口を塞ぐ。
「だからそんなこと言ったら喧嘩になるだろ?」
「どうせ殺すでけなのです」
「だからダメ!」
「ではシエナにキスをするのです。そうすれば問題は解決するのです」
そう言ってシエナはモジモジし始めた。
可愛いな!
この殺人鬼!
「(ほんとにキスしたら人殺し止めてくれるの?)」
「(もちろんなのです)」
頬を朱に染めてシエナが耳元で囁く。
俺はゴクリと喉を鳴らした。
シエナとキス。
キスだけならいいよな?
これは殺人を止めるためなのだ。
止むを得ない行為で、後ろめ行為ではない。
「ちょっとアリスとルナはここで待ってて?」
「うん、いいよノア君。でも早く帰って来てね」
「ご、ご主人様がおっしゃるなら僕何年でも待ってます!」
俺はうまく二人を誤魔化すとシエナを更に路地裏に連れ込んだ。
シエナを抱き寄せる。
ホント、綺麗な子だったけど、更に綺麗になったな。
シエナの美しさにちょっとやられてしまって俺はつい魅入られる。
そのシエナの唇にそっと触れようとすると……。
「お兄ちゃんとお姉さん何しようとしてゆの?」
俺とシエナがコソコソとキスをしようとすると何故か愛らしい幼女が俺とシエナを見つめていた。
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