第21話 アリスとの関係

俺はミスリルゴーレムにかなりいいパンチをもらってしまったが、命に別状はなかった。


やはり馬鹿げた防御とHPのおかげだろう。


それにアリスが治癒の魔法をかけてくれたおかげで痛みも引いた。


俺は一気に攻勢に出ることにした。


「アリス! 薔薇の結界でヤツを足止めしてくれ!」


「ノア君、わかったよ」


アリスは例によってリストカットすると血が広がりミスリルゴーレムを包む。


たちまちゴーレムは真っ赤な蔦でがんじがらめで動けなくなる。


「今だ!」


俺はゴーレムに近づき、胸のコアを狙う。


ゴーレムは蔦で手足を絡め取られていて身動き出来ない。


一方的にコアを攻撃するが、かなりの強度だ。


これ、どれだけ打ち込めばいいんだ?


その時、俺は思い出した。


剣術の武技が授かったんだった。


俺はそれを試すことにした。


「修羅の剣!!」


そう叫んで剣を振るうと、剣先は音速を超えて闘気を纏ったソニックブームがミスリルゴーレムのコアを襲う。


ピキ


やった!


かなり大きなヒビが入った。


俺は再度武技を使った。


「修羅の剣!!」


そして、ソニックブームがコアに着弾すると。


ペキン


コアは割れた。


そしてミスリルゴーレムは力なく動かなくなり、やがて巨大な魔石とユニコーンの角をドロップした。


「やったね! ノア君!」


「ああ、ありがとう。アリスのおかげだよ」


いや、今回確かにアリスが役にたってくれた。


真っ先に潰れてシミになってたら、かなり苦戦してたと思う。


今後、アリスを後方で守りながら戦うのが良作だな。


アリスが不死身だったから良かったものの、普通ならとっくに大事な仲間を失くしているところだった。


笑顔で笑うアリスに俺も笑顔で応える。


久しぶりだな。


こんな笑みを浮かべるなんて。


☆☆☆


安息の間でアリスと楽しくおしゃべりして食事をする。


予めアリスから、この先ゴーレムばかりと聞いていたから魔物の肉を干し肉にしておいた。


食糧は1週間分ほどしかないので、先を急ぐことになりそうだ。


それに最近俺の体調は良くない。


おそらく船乗りがよくなる病気だろう。


俺はこの1週間、野菜を全くとっていない。


だからだろう。


船乗りは野菜不足で病に犯されることがあると聞いたことがある。


「ノア君、そろそろお休みしようか?」


アリスが布で身体を拭き終わると俺に話しかけて来た。


アリスのおかげで水に困らなくなった。


俺もアリスも布に水を含ませて身体を拭いている。


おかげで汗臭かった身体もようやく綺麗にすることが出来た。


アリスは定期的に死んでいるので、身体拭く必要ないと思うけど、毎日必ず拭く。


まあ、女の子だからかな。


と思い、アリスの方を見ると。


「!!!!!!」


びっくりした。


何故ならアリスが下着姿だったからだ。


「アリス。俺も一応男だよ。そんな姿でいられると」


「ノア君はこんな姿でいる私に何をする気かな?」


「い、いや、何もしないから!」


「あれ? 何もしないんだ。なら問題ないね」


しまった。言いくるめられた。


「私も楽なかっこしたいから我慢してね」


我慢するの大変だからやめてほしい。


アリスはポンコツでも凄く可愛いんだから。


自重できる自信がない。


「じゃ、寝よっか?」


「ああ、明日も早いしな」


アリスは頷くといつもの様に指の先を少し口で切ると、血でできたベッドを作った。


薔薇のゆりかごというらしい。


アリスのおかげで俺はベッドも手に入れていた。


本物のベッドほど快適ではないけど、蔦でできたベッドは安息の間の床より柔らかくて寝心地は段違いだ。


だが。


「ねえ、アリス? なんでベッド1個なの? 俺の分は?」


「そろそろ一緒に寝よ、ノア君♪」


涼やかな声でとんでもないことを言うアリス。


「い、いや、俺いくらなんでも自重出来ないぞ!」


「あら、ノア君でもそう言う気持ち湧くんだ……でも……私はいいよ。ノア君なら」


そう言って、アリスは俺の胸を抱きしめて来た。

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