第6話 ハズレスキル剣術

俺は目の前にあるステータスボードの画面を見て愕然としていた。


天の声と同時にステータスボードが開かれて目の前にスキル一覧が出る。


☆☆☆


Sランクスキル


神級風魔法、神級火魔法、神級土魔法、神級水魔法、神級氷魔法、神級雷魔法、神級治癒魔法、神級錬金魔法、神級製薬魔法。神級召喚魔法。


Aランクスキル


詠唱破棄、無詠唱、収納魔法、隠蔽、鑑定、探知、探査。


Bランクスキル


風火魔法耐性、火魔法耐性、土魔法耐性、水魔法耐性、氷魔法耐性、雷魔法耐性、毒耐性、麻痺耐性、魅了耐性。


Cランクスキル


加速、並列詠唱、視力強化、聴力強化、身体強化。


Dランクスキル


剣術、槍術、斧術、弓術、格闘術、体力強化、筋力強化、敏捷強化』


☆☆☆


このうちどれをとってもいい。


だが、俺には選択の余地が少ない。


俺は魔力0なのだ。


スキルを得ても魔法が発動しないかもしれない。


仮に発動しても魔法の威力は魔力に比例する。


つまり魔法系のスキルは俺には意味がない。


普通なら収納魔法あたりを取るべきだろう。


これがあれば馬車何台分もの物資を運ぶことが出来る。


商人に雇ってもらえば一生食いっぱぐれない。


だがの今は最果てのダンジョンの中にいる。


いい仕事の為のスキルじゃなくて、今を生き残るスキルを選ぶ必要がある。


俺の場合、主武器が剣だ。


ならば自ずと限られる。


剣術、敏捷、身体強化、加速、探知、探査。


このあたりだ。


探知は近づいて来る魔物や人を察知できる優秀なスキルだ。


探査は隠蔽などのスキルを持っていたとしても発見できる役立つスキルだ。


探知と探査のスキルの違いは探知が常時起動に対して探査は発動しようとしないと敵を発見できない。その代わり魔力で相手に気づかれるが、隠蔽の魔法でも見破ることができる。


敏捷や身体強化は是非欲しいスキルだが、俺は既に武術言語? 身体能力向上のスキルなんだろう、唯一俺に宿ったスキル『空気を読む』で身体強化ができているように思える。


加速は今の俺の力だとあまり意味がないように思える。


通常の10倍の速度で動けるが発動時間は1秒。


再度使うのに数分のクーリングタイムを必要とする。


達人にならないと意味をなさないスキルと思える。


すると消去法で一つになる。


『剣術』


ハズレスキルの代名詞。


魔法全盛の今、剣など意味をなさない。


遠距離から魔法一発で勝負がつく。


だからこの手のスキルが宿った者はハズレスキル持ちと言われる。


だが俺は迷わず剣術を選ぶ。


「剣術のスキルを頼む」


『確認しました。スキル剣術をノア・ユングリングに付与します』


俺は剣術のスキルを手に入れるとそのまま安らぎの間で崩れ落ちるように寝込んでしまった。


☆☆☆


俺は目を覚ました。


左手はすっかり治った。


疲労も回復した。


俺は寝る前にやり残したことを思い出した。


スキルポイント


スキルにはポイントを割り振り、レベルを上げることができる。


能力のレベルは基礎ステータスを上げてくれるが、それとは別にスキルのレベルというものがある。


レベルが上がると当然スキルの威力が上がる。


俺は早速ステータスボードのスキルの欄を確認した。


☆☆☆


【スキル】


武術言語Lv1 レベルアップに必要なポイント500


剣術Lv1 レベルアップに必要なポイント50


所持スキルポイント 800


なんとスキルポイントが大幅に増えている。


武術言語のレベルは500もいるから上げることが出来なかった。


俺は剣術と武術言語にスキルポイントを振った。


『武術言語のスキルLvが上がりました。Lv2になりました。次回レベルアップには750必要です。剣術のスキルLvが上がりました。Lv2になりました。次回レベルアップには75必要です』


まだスキルポイントが余っている。


俺は剣術に更にポイントを割り振ってLv3にした。


そして安らぎの間を出て、次の階層に向かった。


だが、この時。


『迂闊に先に進んではダメ!』


声が聞こえたような気がした。

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