第54話 ノア、メスガキに舐められる

シエナの素性がわかったので、一緒に冒険者ギルドに入るとそこには子供がいた。


「か、可愛い……」


俺は冒険者ギルドに入るや否や一人の女の子に目を奪われた。


歳は俺よりかなり年下だ。


というより子供だ。


愛らしい子供。


俺は子供が好きだけど、なんでこんなところに子供が?


それに俺が魅入られたのは、彼女にリリーの面影を見てしまったからだ。


似ている。


リリーの子供の頃、きっとこんな感じの愛らしい女の子だったのに違いない。


しかし、この子はなんでこんな所に?


「ねえ、あの女の子は?」


「新しく入った受付嬢なのです。みんなの人気者なのです」


既にこのギルドに出入りしている勇者シエナが教えてくれた。


受付嬢?


そっか、きっと優秀な女の子なんだろうな。


冒険者ギルドに年齢制限はない。


あるのは技能試験や筆記試験だけだ。


つまり彼女はギルドの受付嬢を担当するのに相応しい能力を持っているという事だ。


俺は代表で受付に並んだ。


すると俺の順番が来て、例の愛らしい女の子が俺の担当をしてくれる事になった。


「いらっしゃいませ。お兄ちゃん。ごようは何?」


「ああ、冒険者登録とパーティ登録なんだ」


「うん、わかりました。じゃ、ここに能力と魔力を書いて?」


俺は事実を書いた。魔力0、能力『空気を読む』と。


だがそれを見た彼女は眉を曇らせる。


当然の反応だろう。


普通魔力0で危険な冒険者になるとかありえない。


「お兄ちゃん、ちょっと私と個室で話しあいしよ」


「あ、わかった。まあ、多分そうなるかなと思っていたんだ」


おそらくこの子は俺が冒険者になるのを止めようとするのだろう。


でも、人前では俺のプライドを傷つける恐れがあるから個室に促しているのだろう。


☆☆☆


ギルドの裏へ通されて個室に入る。


「お兄ちゃん。ようやく二人っきりになれたね♡」


「はい?」


俺は想像と違う言葉を投げかけられて、は? となった。


「えっと、俺が冒険者になる事を止めようとするんじゃ?」


「そんな事より、クロエ、お兄ちゃんと遊びたい♡」


「え? 仕事中だろ?」


「だって、お兄ちゃんクロエの凄いタイプなんだもの」


タイプだなんて言われて悪い気がしない。


「まあ、別にいいよ。何するの?」


「じゃ、ポッキーげえむ♡」


「は?」


それ、女子大生とか相手にするエッチなポッキーを両方からかじって行くヤツじゃない?


「えっと? クロエちゃん? それどういうことかわかってる?」


「クロエ、大人みたいなゲームしたいの、ダメ?」


可憐な女の子に下から上目遣いで見られると照れる。


「わかったよ。少しだけなら」


「やった〜! ありがとうお兄ちゃん!」


天真爛漫な笑顔で応えるクロエに俺は素直に聞いてしまった。


どうせクロエの方から恥ずかしくなってしまうんだろうな。


そんな感じでお兄さんは年端もいかない女の子をからかおうと思った。


「はむ♡ お兄ちゃん、来て♡」


「あ、ああ」


口にポッキーを加えたクロエちゃんは……。


エロかった……。


勘違いするなよ!


俺はロリコンじゃない!


でも、クロエちゃんがエロいんだもん!


「ん、れろ…ちゅっ…ん、れろ、れる……♡ ああん。んん、れろれろ、ん……♡」


クロエちゃんの声がエロいんだけど?


それに近すぎない?


もう、クロエちゃんの顔はもうすぐ目の前だ。


俺はドキドキして来た。


それも背徳感に満ちたドキドキだ。


こんな年端もいかない子と……キス?


い、いかん!


それはダメだ!


そう思うが。


「お、お兄ちゃん、ん……♪ んん、ぢゅ……ん、うむ、れろ……♪」


ああ、俺の理性が……。


仕方ないよね?


俺が役得でクロエちゃんとのキスを覚悟した時。


クロエちゃんの息遣いが目の前に迫ってもう数mmの距離になった時。


これもう触れてしまうとそう思った時。


ポキ


「え?」


クロエちゃんとのキスに流されてしまった俺は突然口でポッキーを折ったクロエちゃんを見て驚いた。


「何こんな年下の女の子相手に期待してたんですか? すっごく気持ち悪いですよお兄ちゃん♡」


見ると可憐な顔から一変。


それは妖艶とも思えるエロい女の顔のメスガキ。


「こ、こいつっ!?」


俺はメスガキに舐められた……。

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