第27話 悪徳領主を暴力で躾ける
あれだけの大立ち回りをしてきた
「こ、こちらにいらっしゃいます」
「そうか。案内ご苦労。おやすみ」
「それじゃあ、行きますか」
僕は右足を後ろへ引いて
「な、なんじゃ!? 何事じゃ!?」
「お邪魔しますよ」
慌てふためいている男の声を無視して入室する。部屋へ入るなり、強烈な甘い匂いが鼻をついた。お
「だ、誰じゃ貴様は!? このカダベル・ペリュオン様が政務に励んでいるところへズカズカと押し入るなど無礼千万であるぞ!」
声のする方へ目を移す。そこには巨大で豪華な
ふんっ、なにが政務だ。虫唾が走る。なので、カダベルと
「あれ、僕の目がおかしいのかな? とても政務に励んでいるようには見えないんだけど?」
僕が近づいていくと、女性たちは悲鳴を上げて逃げて行こうとした。なので、もれなく気絶させてやった。
「ひっ、人殺し!」
「違うよ、眠ってもらっただけさ」
僕がベッドの上へ飛び乗ると、カダベルが手足をバタつかせて後ずさる。だが、途中で壁に当たって動きを止めた。びくびくと震えている。僕はそいつの傍らに立ち、冷たい目で見下ろした。
「ずいぶんと、だらしない体だな。多くの領民たちがガリガリに痩せてるってのに、豚みたいにブクブク肥え太りやがって。ふんっ、彼らから搾り取った税で文字通り私腹を肥やしたってわけだ。なんとも、ご立派な領主様だな」
僕は頭にきたので、怒りにまかせてカダベルの左足を踏み潰した。
「ぎゃああああああ!!!」
カダベルが悲鳴をまき散らす。しかし、両目からボロボロと涙をこぼしながら、それでも僕を
「ワ、ワシは領民のためにやったのだ! 税を多く徴収して貯蓄しておけば、
「は? 知るかよ。というか、お前が飢饉に備えて税を多く徴収しているせいで、領内が飢饉みたいな状態になってんだよ。これじゃあ本末転倒だよな?」
僕は、今度はカダベルの右足を踏み潰した。
「ひぎいいいいいい!!!」
「お前、外の村の様子を見たことあるか? ひどいもんだぞ? カビたパンの一欠けらや腐った果物を奪い合って村人たちが争って、死人まで出ているんだ。あれを一度でも見ていたら、とっくに税率を引き下げているはずだ。領民思いの善良な領主ならな。だが、そうしていないってことは一度も領民の様子を見ていないか、見たとしても黙殺しているかのどちらかだ。これってさ、どちらにしても善良とは言えないんだよな。領民の様子を気にかけない領主が善良なわけないし、見て黙殺しているなら言わずもがなだろ? いや、そもそも善良な領主だったら、どんな理由があろうと領民たちに生活が立ち行かなくなるほどの重い税を課そうなんて思わないか。苦しめてしまうのは目に見えているもんな。……結局、お前は自分に都合のいいお題目を唱えて、領民たちを搾り上げて
僕はカダベルの髪の毛をつかんで持ち上げ、顔面を軽く殴打した。
「ぶべらっ!」
ベッドの上に鼻血が舞い散る。カダベルの豚鼻が見事にペシャッと潰れた。
「ふっ、少しは見れる顔になったな」
「き、きしゃま! ゆるしゃにゃいじょ! れったいに、ゆるしゃにゃい!」
「あ? なんて言ってるんだ? あいにく僕は人間なんだ。豚の言葉は理解できないなぁ」
そう冷酷に言い放って、再び顔を殴る。しおらしい態度になるまで殴り続けてやるつもりだ。
他人の痛みが分からないような悪徳領主には、痛みをもって説得するしか方法がないからな。
痛みを知ることで他人の痛みを理解し、己の行いを反省することができるようになる。反省すれば改心することができるようになる。他者の痛みに寄り添うことができるようになる。それを思いやりって言うんだ。人間を人間たらしめている大事なものだよ。それを獲得できるようになるまで、たっぷりと
……ただ、この豚は物覚えが悪そうだから時間がかかるかもなぁ。
はぁ〜。こいつを殺せれば手っ取り早くていいんだが。でも、こいつを殺したとしても、その後に来る領主がマトモとは限らないしな。
領主の座を適当な人に
となると、こいつを調教するのが最善なんだよな。ふぅ。まあ、頑張るしかない。
◆ ◇ ◆
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漆黒の魔剣使い 〜足を斬られてダンジョンに置き去りにされた無職の僕は、悪魔の力を手に入れて強くなって生還したので勇者どもに復讐&『ざまぁ』します!〜 マルマル @sngaoyama
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