概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!本格的ミステリー且つ異世界の雰囲気をじっくり堪能したい方におススメ!
『嘘とはなんぞや?』
『罰とはなんぞや?』
このお話のキーワードは、この2つのようにわたしは思いました。
お話の舞台は、ミティア教国という宗教国家。
この宗教では、偽りを口にすると神罰が下り、全身を業火で焼かれて死んでしまうのです。
では、嘘さえつかなければなにをしてもいいか、というとそうでもない。
罪を犯したものもまた、厳罰に処されるのです。
このお話の主人公は、ミナ・ティンバー審察官。
彼女は神より加護と呼ばれる力を与えられた審察官で、罪を犯した人間を取り締まるのが仕事。
けれどもミナは、罪を犯した人間を問答無用で取り締まる事に疑問を抱き、彼女の信念に従ってとある行動を起こしています…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰かにとっての真実は、誰かにとっての嘘となる
良質なファンタジーの条件は、その世界に違和感なく入り込めるかどうかだと考えています。
硬派ながらも読み疲れしない文体は読み手を違和感なく物語の世界へと誘い、あとは豊かかつ流麗な筆致で描かれる世界の営みに身を委ねるだけでいい――
そんな本作もまた、前述の条件を満たしている稀有なファンタジーであり、多くの読み手にとって価値ある読書体験が約束された作品であると言えるでしょう。
しかし、それは本作の魅力のほんの一端、入口に過ぎません。
なんと本作、ファンタジー世界を舞台としつつ本格ミステリを謳っています。
……恐ろしい。神をも恐れぬ所業です。まず常人ならプレッシャーから夜も眠れないでしょう(私談)…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嘘をつけば神罰が下る。それでも人は殺人を犯す。
偽証、すなわち嘘をつけば神罰が下り、炎に巻かれて死んでしまう。
そんな超常の力が宿る宗教を信仰する、ミト教徒の間で起きた殺人事件。
嘘をつけないなら、犯行を隠せないなら、人は罪を犯さない?
そんなことはもちろんありません。
嘘がつけずとも、人は詐欺をして、窃盗をして、殺人をする。
そしてその罪人の多くは、神の炎で死を迎えるか、人の手で処刑される。
そんな国で起きたとある殺人事件では、関与した可能性のある人物全員が、その殺人への関与を否定。
犯人は巧みに嘘をつかず、真実を隠蔽しているのか?
あるいは、犯人は平気で嘘をつくことができる異教徒なのか?
その殺人の手口は? 犯人は?
重厚な描写…続きを読む